重なる影、繋ぐふたりの帰り道
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<第1話>
中3になり1ヶ月が過ぎた。
新しいクラスにも慣れ、学校の廊下には遠くの方で生徒の楽しげな声が響いている。
放課後になってオレの行く先にねむが歩いているのが見えた。
最近、ねむの様子がおかしい。
ぼーっとしてる事が多いし、なんかフラフラしてる。
ほらまた。
『っ!ごめん。鉄』
足元がふらつき、廊下の壁にぶつかりそうになるねむの肩を支えてやる。
「オイオイ、大丈夫かよ?」
『大丈夫、大丈夫ー』
そう言ってまたフラフラと歩き出すねむ。
いや、絶対大丈夫じゃないだろ。
「お前最近なんか変だぞ・・・ってねむ?!」
今にも倒れそうな角度で身体が傾くねむを引っ張り抱き止めるが、反応がない。
「オイッ!大丈夫か・・・」
『ぐぅ・・・』
・・・
コイツ、寝てやがる。
状況が理解できず一先ず声をかけて起こしてみるが、全く起きない。
『むにゃむにゃ・・・』
それどころかオレの服を掴んで離さず、しがみついてくる始末。
人の気も知らねぇで・・・
わずかに赤面しつつ、冷静に家まで運ぶ術を考えていると
ちょうど筒井が通りかかった。
「・・・加賀がねむの木さんを襲ってる・・・!」
「襲ってねぇよ!コイツ寝てんだよ!」
見ようによってはあらぬ誤解が広まるところだが、筒井にしか見られなかったのが不幸中の幸いだろうか。
「ほんとだ。あはは、寝顔子どもみたいだね」
「オイ筒井、ねむに変な気起こしたらぶっ飛ばすからな」
「加賀に言われたくないよ・・・」
「とにかく家に運ぶ。手伝ってくれ」
筒井の補助によりねむをおぶって抱える事ができた。
余談だが、絶対変なところ触るなよとめちゃくちゃ念押しした。
「じゃあな筒井、助かったぜ」
「気を付けて」
筒井と別れ、帰路を辿っているとある事に気付く。
ねむのカバンが異常に重い!
それに相反するようにねむの身体は軽くて驚いてしまった。
ねむの事おぶるのなんて小学校低学年ぶりぐらいか?
あの時はお互い体格差はなく、おぶるにも苦労したもんだなと思い返しながら歩いていると、ねむが目を覚ましたようだった。
『・・・ん・・・ぅわっ!鉄?!』
「おー。よっく寝てたなー」
『ちょっと、どーゆー状況?!下ろして下ろして!』
「お前フラフラして倒れたんじゃねーか。危なっかしいからじっとしてろって」
『ぅ・・・』
ねむは観念したように大人しくなった。
そして申し訳なさからか、オレにしがみつく腕に力がこもったように感じた。
ーTo be continueー