昼下がりのあの子
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<第2話>
昨日の出来事から一夜明けた今日。
午後になり、いつも加賀くんが保健室にやって来る時間が近付いてきて
・・・少し、緊張する。
今まではただ世話の焼ける生徒だったのに、
自分の中で何かが芽生えそうな、でもそれを理性が全力で阻止しているような、
そんな感覚だった。
壁にかかっている時計の音が今日はやけに大きく聞こえる。
この部屋はいつもこんなに静かだったのかと思うくらい、感覚が研ぎ澄まされているみたいだ。
キーンコーンカーンコーン
『・・・アレ?』
授業終了の鐘が聞こえて、私の口から間抜けな声が漏れてしまった。
いつも決まって5限の時に現れる加賀くんが
今日は来なかった。
そわそわと落ち着かない頭で今日やるべき仕事をこなしていく。
加賀くん、どうしちゃったんだろ。
というか、
私もどうしちゃったんだろ。
自分の中でモヤモヤしたものが動いている自覚はあった。
意識的に仕事の方に頭を切り替えないと、
飲み込まれそうだ。
そんな時、保健室前の廊下を生活指導のカツマタ先生が通るのが見えた。
いつもすごい剣幕で加賀くんを探していて、度々私にも見なかったか聞かれるんだけど、
今日はどこか落ち着いた様子で素通りして行った。
『カ、カツマタ先生っ』
「ん?ねむの木先生、どうしましたか?」
『あ、えーと・・・今日は加賀くんを探してないんですか?』
つい声をかけてしまい、いきなり加賀くんの事を聞くなんて不自然だったかなと思ったが、聞いてしまってからでは後戻りできない。
「ああ、アイツ今日は風邪で休んでるそうですよ」
『・・・カゼ・・・』
ハッとなって言葉を続ける。
『カツマタ先生、昨日加賀くん保健室に休みに来たんです!・・・けど、いつもの事だと思って少し寝させて、そのまま教室に帰らせてしまって・・・』
具合の悪い生徒の検温とその後の体調観察は必ず行わないといけない事なのに、完全にスルーしてしまっていた。
そう言われてみればいつもと様子が違ったから、気にかけるべきだったんだと徐々に後悔が押し寄せてくる。
「大丈夫ですよ、アイツが熱出したのは今朝からと聞いてます。昨日は部活も出ていたようですし・・・。度々保健室でサボってるようなので、先生がそう思うのも無理ないでしょう。ただ・・・」
『?』
「なんだか加賀がいないと静かで、調子が狂いますね」
『あはは、そうですね・・・』
「まぁ2〜3日休めば元気になって学校に来るでしょうから、心配いりませんよ」
何だかんだ加賀くんが学校に来るのが楽しみな様子のカツマタ先生を見て、私も似たようなもんだなと思った。
いや、そう思うようにしてただけかもしれない。
モヤがかかった私の感情が蠢いている。
でもこれ以上自分の確信に迫るのは、
ここでやめた。
ーTo be continueー