本編
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宿場町に広がっていた火の手は姫の指揮のもと僕らと駐屯兵や住民の協力により無事に鎮火することができた。
またスッパとかいうイーガ団を取りまとめていたあの男は戦況を見て残党もろとも撤退したらしい。引き際を弁えているあたり、たちが悪い。
「しかしまあ取り逃がすとはね。僕だったらそんなヘマはしなかっただろうな」
「………」
「黙ってないで何か言ったらどうだい?」
奴と一人で戦っていたリンクに嫌味を言ってやるが相変わらずの無表情で腹立たしいほどに反応を示さない。
「あのっ…シーカー族の術は特殊にございますから、その……」
僕に言われたい放題なのを不憫に思ったのか代わりにリーチェが弁明しだす。…そんな顔をされると調子が狂うじゃないか。
「はあ……わかったよ。君に免じてここまでにしてあげる」
彼女の意を汲んで特別に折れてやると安堵した様子で礼を言われてバツが悪くなった僕はろくな返事もせず顔をそらした。
「はっはっは!リーバルを丸め込むなんてすげぇな嬢ちゃん!」
僕らのやり取りを見ていたダルケルが豪快に笑いながらリーチェの背中に向かって腕を振りかぶる。
「おいよせ!」
「え…きゃあっ!」
彼女の腕を引くと同時にダルケルの腕がブォンと大きな音を立てて空を切った。
「危ないだろ!君の馬鹿力で叩いたらリーチェは吹き飛ぶか最悪骨が折れるからね?!」
「そ、そうか…?悪気はなかったんだがすまねぇな」
「そう思うならこれからは気をつけてくれよ」
腕の中で真っ赤になって縮こまるリーチェを解放してあげる。僕としてはもう少しこのままでもよかったが、そろそろ姫と部屋を予約しに行ったインパが戻ってくる頃だ。
「あっ…ありがとうございます…」
「フン、せっかくこの僕が助けてあげたのに怪我されたくないからね」
程なくして2人が帰ってきた。
「お待たせしました。部屋ですが、少し困ったことになってしまいました」
「まさかとれなかったのかい?」
「そうではないのですか…」
「じゃあどうしたっていうのさ」
姫が言いにくそうにリーチェを見る。
「3人部屋を2つとる予定が2人部屋3つしか空いてなくて、とりあえずそれで予約したのですが部屋割をどうしたものかと…」
それで彼女の方を見ていたのか。
さすがに姫を異性と同室にするわけにはいかないから護衛役を兼ねてインパと一緒にするのは確定だろう。すると必然的にリーチェは僕らの中の誰か1人と同室にならなくてはいけなくなるのだ。
「そういうことならリーバルで決まりだな!」
「はあっ?!」
思わず大きな声を出してしまい咳払いをして取り繕う。
「なんだって君はそんなことを…」
「じゃあ俺や相棒が嬢ちゃんと同じ部屋になってもいいのか?」
そう言われて言葉に詰まった。
ダルケルは別に構わないがその場合、僕がリンクと同室に…そんなの冗談じゃない。だからといってあいつがリーチェと同じ部屋で寝泊まりするのは更に我慢ならない。
「……ま、君らよりも僕とのほうがリーチェもよっぽどマシだろうからね」
我ながら苦しい言い訳をして姫から部屋の鍵を1本取り上げる。
「ほら行くよ」
「え…っ!?」
呆けている彼女の手を引いて早足で部屋に向かった。早くこの場から立ち去らないとからかわれるのが目に見えていたからだ。