本編
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キィン…!
もう一度…もっと真っ直ぐに…
キィン…!
姫様のご就寝前のお支度を終えた後はいつも弓の訓練場で鍛錬をしている。
それから…気持ちを整えたいときにも。
ご就寝前のお支度をしに御部屋へ行くと、真剣な表情をされた姫様が待っていた。そして3日後に出立する古代遺跡の魔物掃討作戦に加わってほしいと懇願されたのだ。
「今のは綺麗でしたよ」
「っ!」
不意に声を掛けられて思わず肩が跳ねる。
「インパ姉様、いらしていたのですね」
「今来たところです。鍛錬に励むのは良いことですが休息をとるのも大切ですからね」
「ありがとうございます。…もう少ししたら終えますので、姉様はお先に休んでいてくださいませ」
再び弓を構えようとしたところで何故か姉様にの手に制された。
「姉様?どうなされましたか」
「一人で抱え込むのはリーチェの悪い癖です。大方、今度の古代遺跡の件を気に病んでいるのでしょう?」
「っ…!」
「やっぱり!私の目は誤魔化せませんよ」
見事に言い当てられてしまい自嘲を含んだ笑みが浮かぶ。
「姉様には全てお見通しなのですね。弓を引いた分だけ恐れは消え去るかと思いましたが…リーチェは臆病者でございます」
同じく討伐へ赴く姫様と姉様は毅然としていらっしゃるのに情けない。
お二人と…そしてあの方のお役に立ちたいという思いと戦うことへの恐怖心が折り重なって、心が潰れてしまいそうになるのだ。
「私だって怖いです」
「姉様も…?」
「勿論ですよ!特にあの夜に出るスタルボコブリンが不気味で…倒した後の骨がウネウネ動いているのなんて本当に気持ちが悪いと思いませんか?!」
「そ、そうでございますね」
少し大げさな語り口調に思い詰めていたのが何だか拍子抜けしてしまう。
「ふふっ…」
「ちょっと!今、笑いましたね?!」
「ごめんなさい、つい」
「まったくもう!」と言いながらも姉様のお顔はとても優しかった。
「それと、リーチェは臆病者ではありませんよ」
「えっ?でも私は…」
「危険を伴うことを怖いと思うのは至極当然のことです。それでも逃げずに立ち向かおうとしているのですから流石は私の妹ですね」
「姉様……」
不安でたまらなかった胸に姉様からの温かい言葉が染みて自然と涙が滲んだ。
「不安を消すことは出来ませんが、私だけでなく姫様やリンクそしてリーバル殿も一緒ですから、きっと無事に任を全うできるはずです」
「っ…はい!姉様のおかげで勇気が湧いてまいりました」
「その意気があれば大丈夫ですよ!それにどうやら…リーチェには気難しい守り人が着いているようですしね」
そう言って姉様は意味ありげな笑みを浮かべる。
「守り人、でございますか?それは一体…」
「ふふ、そのうち分かるときが来ると思いますよ。まあ、姉としてはもっと素直な性格の方がよかったのですが…」
「??」