本編
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ーーなんとか渡すことができたか。
姫のところに向かいながら内心安堵する。僕の物の余りなんてのは出任せで実際あれは彼女のために作ったものだ。
恋人でもないのに同じ飾りを贈るのはやりすぎな気もしたが、きっとあの様子なら身につけてくれるだろう。
僕と同じ翡翠を付けたリーチェの姿を想像するとかなり気分がいい。
…また何か贈ってみるのもいいかもしれないな。
そんなことを考えていると、正面から彼女の姉で執政補佐官のインパが歩いてきた。
「あっリーバル殿!もういらしていたのですね」
ハキハキとした口調はリーチェとは対照的な印象を与える。二人が姉妹と知ったときは驚いたものだ。
「僕は頃合いまで時間を潰そうと思っていたけど、君の妹が早く行ったほうがいいって言うからね」
「また構っていたのですか?あの子は繊細なんですからあまり困らせないでくださいね!」
「はいはい、わかってるさ」
「ちょっと!その生返事はなんですか!?だいたいですねーー」
妹が心配なのだろう。まあ…あの様子なら分からなくもないが。
「インパ、そのくらいにしてあげてください」
小言が始まりかけたところを凛とした声が遮る。
「姫様っ!」
インパの後ろに続く通路からハイラルの姫、ゼルダと彼女が連れている白い小型ガーディアンが顔を出した。
「リーバルは彼女と親しくなりたいだけですよ」
姫は「そうでしょう?」と言うように僕の方を向いて微笑む。
「…フン」
顔を逸した僕を見てガーディアンが間の抜けた音を出すものだから余計決まりが悪い。
「そんなことより僕に用があったからわざわざ呼び出したんだろう?早くそれを済ませてくれよ」
「ふふ、では研究室で話しましょう」
研究室に着くと、リトの村周辺の魔物の出没が活発になっていることや神獣ヴァ・メドーの調整具合について一通り話をした。
「やはりそうですか…。でも神獣の方は順調なようでよかったです」
「僕が操縦しているからね。当然さ」
でもメドーの力はあんな程度じゃない。…もっと訓練を積まなくては。
「頼りにしていますよリーバル。それから急な話ではあるのですが今日は貴方にお願いがあります」
「お願い?とりあえず聞こうじゃないか」
姫が頷く。
「数日前に新たな古代遺跡が発見されたのですが魔物が住処にしているようで調査が難航しているのてす」
「…そこでこの僕に魔物の掃討をしてほしいというわけだね?」
「ええ。勿論リトの村のこともあるでしょうし無理にとは言いません」
僕はこれを二つ返事で承諾した。急ではあるが姫の頼みなら…まあ力を貸してやってもいい。
「ありがとうリーバル。では出立は3日後の朝に…私とリンクとインパ、それからリーチェも共に行きます」
「リーチェを連れて行くのかい?」
初めて会ったときのことを思い起こす。
僕には到底及ばないが、風を使いこなし矢を射る彼女は普段の気弱さを感じさせないほど強くそして美しかった。
戦力としては申し分ないだろう。…ただ、リーチェの性格と伺える実戦経験の乏しさを考えるとあまり賛成できない。
それは姉からしても同じなのか、後ろで控えているインパも複雑な表情をしている。
「貴方達の言いたいことは理解できます。それでも、厄災まで時間がない今…リーチェの風は必要不可欠なのです」
俯き手を握りしめる姫を見ると、さすがにこれ以上は咎める気になれなかった。
「まあ…彼女一人くらい、いざというときは助けてあげなくもないよ」
「…ありがとう。リーバル」