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主人公の名前




あれから2日間を経て古代遺跡に到達した。



「この中に古代の遺物があるのですね…」



「ああ。ここから先は魔物が多いから十分注意しなよ」



「っ…はい!」



まあ、この僕が側にいる限り危険な目に遭わせはしないけれど。……それでも用心に越したことはない。



中に入ろうというところで前を歩いていた姫が僕らの方を振り返った。



「では…リーチェ、風読みをお願いできますか?」



「承知いたしました。姫様」



まだ周囲に魔物の気配はないのに何をさせるつもりだ…?



意図のわからない僕を余所にリーチェは両手の間に彼女自身が生み出す銀色の風を溜めはじめる。



風は少しずつ形を変えていき、程なくして地形を模したようなものを完成させた。



「まさかこれ…この遺跡の地図なのかい?」



「左様でございます」



しかも只の地図じゃない。道のいたる所に点在している小さな風の粒は魔物の位置まで示しているのだという。



つまり、この地図を頼りに進めば不意打ちを食らうこともなく万全の体制で魔物に挑めるってわけだ。



「へえ…さすがに驚いたな。すごいじゃないか」



「あ、ありがとうございます…」



気恥ずかしそうに微笑む彼女に僕の顔も自然と緩む。ふと視線を感じると姫が嬉しそうに僕を見ていた。



「な、なんだよ」



「ふふ、微笑ましいと思いまして」



「……絶対に面白がってるよね?」



睨んでみるも怯むどころか姫は余計に笑みを深くする。



「そんなことはありませんよ。リーバル、私は貴方を応援していますからね」



「はあ?!」



「さあ先を急ぎましょう」



僕に言い返す機会すら与えず歩き出してしまった。言われっぱなしなのは気に食わないが、リーチェの手前下手なことも言えない。



「やれやれ…」



ため息をついて僕も後に続いた。



ーーー



「うおりゃああ!」
「はっ!」



ダルケルとリンクの連携で魔物を一網打尽にする。…ま、僕でも難なく倒せただろうけど。



狭い空間では近接戦のほうが立ち回りやすいため、僕が出張ることもないだろうと敢えて譲ったのだ。



「やったな相棒!」



2人が互いの拳を合わせる。どういうわけか性格は正反対なのに気が合うらしい。



「魔物の拠点はかなり潰せたみたいだね」



「はい。これなら奥へ進んでもよいかと思います」



リーチェの地図から見ても魔物の数は相当減っている。好意抜きに彼女の風読みのおかげで掃討作戦は順調だ。



「そういえば…ずっとその地図を出してるけど体力の消耗は平気かい?」



「普段もたまに使っておりますから大丈夫でございます」



「普段から?兵士でもない君にそんな機会があるとは思えないけど…」



「えっ?!そ、それは…その……」



何故かリーチェは顔を赤くして口籠る。



「……教えてもらおうか?」



からかい半分で彼女を追及すると「笑わないでほしい」という前置きをしてから恥ずかしそうに話しだした。



「ハイラル城や城下町は広いものですから…時折道に迷ってしまうのです。……その際に」




リーチェらしい答えに思わず笑いが漏れてしまう。



「わ、笑わないでくださいと申しましたのに…!」



「くっ…ははは!君…それは笑わずにいられないよ!まあそれだけ使ってるなら心配はいらないね」



「っ…時折でございます!」



「ああそうだっけ?ごめんごめん」



怒っているんだろうけど真っ赤になったその顔も僕には愛らしくしか見えない。



悪い癖でこの後さらにからかってしまい、本格的にそっぽを向いてしまった彼女を宥めながら遺跡の奥へと進むのだった。


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