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ごうごうと外はひどい吹雪の中どうしても寝られず暖炉の前で温まる。
こうしてゆっくりしているのは久しぶりで、まだカルデアにいた頃から一月も経っていないのに色んなことがありすぎて大分昔のことのように感じる。
不意に隣に誰かが腰を掛けた音が部屋に響く。
「寝なくていいのかい?」
「ビリー?」
はい、と少し不思議な味のするコーヒーを差し出された。
彼は隣で飲み口の欠けたカップに唇をつける。
その姿が何だか懐かしくて、あの白いマイルームでもベッドに2人で腰掛けてるわけでも、わたしの知っている彼でもないのに、ひどく愛おしくて懐かしさがこみ上げてしまった。
すると彼はぎょっとして少し慌てた様子で私の頬を撫でた。
「どうして泣いてるの?」
「えっ?」
彼に言われるまで泣いてることに気づかなかった。
止まる気配のない涙に困っていると、彼はおもむろにジャケットを脱ぎ私の肩にかけそのまま抱き寄せられた。
「こうした方が温かいだろ?」
なんて、それがわたしのビリーと一緒で、今いる彼は私の知らないビリーの筈なのに、前にこうやって慰められたのを思い出して余計に目頭が熱くなってしまった。
顔を肩にうずめ上げられないでいると。
「ひょっとして、『向こうの僕』にもこうされたの?」と、
情けない声を漏らしたくなく無言で頷くと、
彼はそう、と言って黙ってしまった。
もう会うことの無いと思っていた彼とまたここで再会して、信じられないくらい嬉しかった。
けれど、直ぐにわたしの『ビリー・ザ・キッド』ではないと気づいて、知ってしまって。
ねぇこの感情をどうしたらいいの?
なんて聞きたい人はもう居ないのに
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