嚴白虎

◇ ◇ 徳王山塞 ◇ ◇

嚴白虎:お、この本は特装版だな。俺は番外編はまだ見た事がない!

これは変わらない!この逸話!《平原秘事娇弱皇叔狠狠哭》が大好きだった。

広陵王:……あの、嚴大王、あなたがこの本をお気に召したのなら、ここにいてください。私はお先に失礼します……

私は立ちあがろうとしたが、鳶使に袖を引っ張られた。彼女は泣きそうな顔をしている。

鳶使:私の本……取り返してください……

広陵王:真面目な本じゃないから彼にあげよう……

鳶使:それは私が大雪の中並んで手に入れたもので、作者の直筆サインもあるんです……

ふいに嚴白虎は重そうに本を置き、満足そうに息をついた。

嚴白虎:広陵王、もう少し座っててくれ。
読み終えたら、一緒に劉備文学の素晴らしさについて語り合おう……

※劉備文学=艶本やゲーム中では成人向け同人誌的なものも指す……っぽいです

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【やめておく】

広陵王:けっこうです!自分で味わうだけで十分だ!

嚴白虎:十分じゃない!良い本は友と一緒に楽しむべきなんだ!

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【ちょっと楽しみ】

私は期待して待ち構えた。

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山賊(甲):報告します!呉郡会稽の使者が面会を求めています!

使者が連れてこられた。嚴白虎は本を手にしたまま顔も上げず、全く相手にしない。

使者:徳王、あの孫策は非常に傲慢で、揚州へ入ったが地元の士族には目もくれない!
奴は士族に対して滅打滅殺を言い張りどうしようもない!
我が主人は徳王と手を組み、奴に手厳しい態度を見せてやりたいと思っています!

広陵王:そうなの?どうやって…?

その人は私が嚴白虎の門客だと思って得意げに話し始めた。

使者:何人かの主人たちはすでに宴会を欠席することを約束している!
祝宴に誰も参加しなければ、孫策は天下の笑いものになるだろう!

嚴白虎:うるさくて読書の邪魔だ!わかったから言われたとおりにしろ。俺はそもそも行くつもりはなかったんだ!

彼は手を振り、使者を途中で帰らせた。
彼が夢中になって本を読んでいるのを見て、こういうことが本当に好きなんだなと思った。


広陵王:あぁ、あなたに孫策に関する秘密を一つ教えてあげたいな。

嚴白虎は眉をひそめた。まだ本を読んでいるふりをしていたが、明らかに耳をそばだてていた。

広陵王:孫策は絶版になった劉備文学のセットを持っているんだけど、それを80歳の老人でさえ子供の指導の下で読むと言われています。
1行目で天に昇り、2行目で狂気に陥る。
自身を制御する力はあと僅かで、三行目までは耐えられない!

嚴白虎:え?!彼も同志なのか?

私は粛々と頷き声をひそめる。

広陵王:どうだろう、あなたが先頭に立って孫策の顔を立ててくれたら、この絶版本を贈りましょう!

嚴白虎:よし、これで決まりだ!


◇ ◇ 山 林 ◇ ◇

ふー、やっと出発できた……

鳶使:危なかった!でも残念ながら私の本が……

広陵王:ただの劉備文学じゃないか。少なくとも私たち皆無事だったのだから。
贈り物を確認して、どれだけ減ったか確認しよう。

嚴白虎:兄弟!ちょっと待ってくれ!

背後から緊迫した声で呼ばれ、振り返ると、濛々と巻き上がる土煙が波のように押し寄せてくる——

嚴白虎:さっき<<広陵夜闕>>を薦めるのを忘れてた!アンタが主人公だぜ!

こいつは!何を!言ってるんだ!

嚴白虎:<<娇弱皇叔狠狠哭>>この本の構想は斬新だから、アンタも持ってた方がいい。
<<不倫絶恋桃園篇>>は俺のいつもの好みではないが、アンタは気にいるんじゃないか!
そして<<袁氏物語>>はとても刺激的だ!
俺の推薦図書リストをやるから、全部覚えておいてくれ!

山賊(甲):俺たちのお頭が薦めた本を忘れんなよ!


私は馬を急かし、ようやく彼から離れることができた。周りの側近たちは疑いの目を向けささやいた。

第三節


※友、親友と訳した部分は原文では「知音」となっています。呂氏春秋の知音からかと思いますが、ただ友とする以外にうまい訳が思いつかず……
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