嚴白虎

私は孫策の祝宴のため、何台もの荷車に土産物を携え江都に向かっていた。

鳶使:主、この辺りでは山賊が頻繁に強盗を働いているようです。護衛はこれで十分ですか? 


広陵王:孫策が揚州に入って初めての公式な祝賀行事だから、誰も邪魔をする勇気はないはずだ。 


突然強風が吹き荒れ、矢が馬車のながえに突き刺さり 錚々そうそうと音がした。




鳶使:敵襲!警戒せよ! 


随行している兵たちは次々と武器を抜いて馬車の周りを取り囲む。
次の瞬間、爽やかな笑い声が響き渡り、鳥たちを驚かせた。




声の聞こえた方を見ると、向こうの山の上に「徳」の字を刺繍した旗がいくつも立っている。






鳶使 :横暴な山賊だ……

広陵王:「徳」の字の旗——彼は先日自らを東呉の徳王に封じた山賊の頭領、嚴白虎か? 


——高台から一隊が降りてきて、私たちの馬車を取り囲んだ。頭領は大笑いして、私の護衛など気にも留めなかった。




嚴白虎 :なんて豪勢なんだ!今月で七人目、孫策の祝宴に行く奴だ! 


広陵王:
嚴大王、そうと知っていてなぜこんなことを?江東で孫氏と仇をなすのは、あまり賢明ではないでしょう。

山賊たち :お頭!賢くないって言われてるぞ! 

嚴白虎 :なんだと?!俺が賢くないだって? 


……本当に賢くなさそうだ。




― ― ― ― ― ― ― ―
【懐柔する】

広陵王 :小鴉鳶使の名、旅費だと思って嚴大王に一箱の金器を与えなさい。 


私は彼を買収して争いを避けようと思った。
しかし彼は冷笑して金器には目もくれなかった。




嚴白虎 :このちょっとした恩で俺を買収しようって?こいつらを連れて行け!孫策に身代金を要求するんだ!

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【威嚇する】

広陵王:嚴白虎?我々は孫策の賓客だぞ? 


嚴白虎:よくもそんなことを言えるな!愚か者め!おまえら、全部持っていけ!!

― ― ― ― ― ― ― ―

金器は投げ捨てられ、そこに陽の光が当たるとまるで金の屑の山のようだった。
嚴白虎はそれを踏みつけて私の前までやってきて、私の表情を窺う。




嚴白虎 :本王は孫策が煩わしい。もし奴に恵与するなら、俺と敵対することになる! 

山賊たち:そうだ!俺たちの頭領にゃ敵わないぞ! 


広陵王 :贈答品は全て置いていく。お金も渡すから私たちを解放してください。
そうでなければ、ただ強盗をしているだけで江東から出兵されるのでは割に合わないでしょう。

孫氏が初めて江東に入った時、地元の豪族たちは多くが不服を唱えた。
嚴氏のように、いっそのこと土地を占領して王になろうという家もあった。これらの一族は宗戝と呼ばれ、江東の問題であった。


嚴白虎:『孫策の小僧の祝宴に参加する者は、俺の敵である』ということを本王は言い放った。
見ものだな、ただ腹を満たしたいだけで頭は無くてもいいような奴が、少なからずいるぞ。

鳶使:あなたはあまりにも傲慢ですね。孫策が報復してくるのが怖くないの?
……うわっ!
小鴉が言い終わらぬうちに嚴白虎が抜刀して斬りつけてきた。かろうじて身をかわすと衣服の袖が切れ、一冊の本が落ちた。

鳶使:あっ!私の本——

嚴白虎はその本を踏みつけ一瞥すると、目を大きく見開いた。

嚴白虎:<<西凉猛猛四人行>>……

鳶使:早く返せ!それは貴重な本で、主が孫策へ贈ろうとしているものだ!

広陵王:……これはなんの本?いつ孫策に贈るの?

小鴉が助けを求めるように私を見てきた。

鳶使:主、奴を怖がらせてやって……本を返してもらえないと困る。

嚴白虎は目を細め、私と小鴉を交互に見てから手を打ち、大きく頷く。次の瞬間、私の反応も待たずに駆け寄ってきて、私の手を取り感動したような顔をした。

嚴白虎:同じ境遇だったか!兄弟よ、これから俺とお前は親友だ!
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