【14】夏は事件がいっぱい!
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「……てな訳で、この話はおしまい!」
「はぁ…まさか、そんな結末になるとはなぁー」
デミックスが瞬きして意外な展開にふへーと感嘆の息を漏らす。
「リゾットさん……『外』にでるつもりなのか?」
「あいつはその気満々だった。止めたとしてありゃいくだろ…だから、敢えて注意勧告だけはしておいたんだ」
そっか…とロクサスが納得したように頷く。
「気になるのは…その門(ゲート)を開けた神もしくは使者の『真意』です。何を考えてわざわざ、世界の門を開いたのでしょうか?」
「門を開く事は、即ち“他の世界の人物の入出を許可する”という意味だ。下手をすれば危険を晒す行為だからな」
ゼクシオンとザルディンが意見を言い合う中、シグバールがくくっと喉を鳴らして笑う。
「それこそ、『神様の気紛れ』ってやつかもしれねーな」
「その人物の考えは、所詮本人にしか解らない…という事か」
シグバールの言葉に、サイクスは便乗する形で自らの意見を言った。
「それで…アクセル。アナスイはインド洋の島まで送り飛ばしたのか?」
ゼムナスが、承太郎に頼まれた一件の結末を訊いてきた。
「ああ…飯食ってダスクに命令してとばしといたぜ」
「でもさ…その男、自力でアメリカまで行ってそうね~」
「イカダとか作って?」
ラクシーヌが面白おかしく言い、シオンもイカダに乗ってアメリカを目指すアナスイを想像しながらその可能性を口にした。
あの男ならあり得そうだ…とアクセルは背筋にぞぞっと鳥肌が立った。
「…ふむ、アクセル。お前のおかげで、フー君がどんな夏を過ごしたのか…いいレポートを書けそうだ!」
「そりゃどーいたしまして。あー、疲れた…」
「コーヒー入れ直しましたよ。どうぞ」
ゼクシオンからコーヒーを受け取ると、アクセルは砂糖を三個入れてかき混ぜる。
「おっと…そういえばまだプリンを食べていなかったな。私も食べ…ああっ!?」
「どうした、ヴィンセン…むっ?」
口をパクパクさせて、絶句しているヴィクセン。
様子がおかしいと感じたレクセウスが、プリンの置いているトレイをみると…
半分以上残っていたはずのプリンがきれいさっぱり平らげられていた。
「あれっ? プリンがない!」
「誰ですか、独り占めした人は…?」
空になった容器を見て、ロクサスは仰天する。
ゼクシオンは眉を潜めて誰が食べたのか、と周りのメンバーに問いかけると…
メンバーの視線が自ずと、一人に集中していた。
「えっ…え、えええっ!? 俺じゃないよ!」
デミックスが自らを指さして、大きく首を左右に振り、無罪を訴える。
だが、日頃の行いと先程プリンを余分に食べた件もあり、彼の主張は見事に信用されていないようだ。
「デミックス…貴様ぁあああ!」
「日頃から、お前の勤務態度は目に余る所があった。これを機に更生教育をした方がよさそうだな」
青筋を立てて怒るヴィクセンに加わり、サイクスはこれはいい機会だと…と言わんばかりに、手指をぽきりぽきりと鳴らす。
「ギャァアアア、誤解だってぇええ!」
研究者の問答無用の氷柱攻撃と、大剣を片手に鋭い目で突進してくる副官に追いかけられながら、デミックスはロビーを逃げ回る。
「もぉー、あれほど言ったのに…」
「しょうがないな~…もう一度作り直そうか、シオン」
頬をぷぅーと膨らませるシオンに、ロクサスは二回目のプリンづくりを提案した。
そうだね、と彼女も快くそれを了承する。
それぞれが賑わっている中、ふぁーと欠伸をするソラは、ある物が目に入った。
ふわふわと丸っこい金色の毛並みのピヨのぬいぐるみだ。
「ありぇ…?」
ぬいぐるみはたくさんあるが、さっきまであのピヨのぬいぐるみはなかった気がする。
そんな疑問が湧き、確かめようとそのぬいぐるみを手に取ろうとしたが…
「そろそろ、お昼寝の時間だ。部屋へ案内しよう」
「ふぅ~…」
ゼムナスに抱っこされてしまい、ソラはそのぬいぐるみを触る事なく別の部屋へ移されてしまった。
ふと、ギャーギャーと追いかけっこをするメンバーを観察していたルクソードは、ある気配を感じ取り、ぬいぐるみに目を向けた。
先程…ソラが握ろうとしていたピヨだ。
「うーん……気の所為か」
疑うように目を細めたものの、深く考えすぎたかな…と思い、そのまま視線を戻した。
彼は気付かなかった。
その金色の毛並みのピヨが「WRY…」と微かに声を漏らし、あたかもしめしめ…と笑みを浮かべていた事に。
【おわり】
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