【14】夏は事件がいっぱい!
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「すみません…お客様」
ふと、聞こえてきた女性の声に、アクセルは視線を変えた。
先程、二階へ料理を運んでいったトニオの奥さんだった。
「ん? 俺に用?」
「はい。貴方は…そちらに座っているお子様の保護者の方ですか?」
少し困惑の色を含んで、確かめるように問うトニオの奥さん。
「ああ、そうだ」
「二階にいるお客様の一人が、お子様と会いたいとおっしゃっています。……ええっと…『ステラ、あがってきて』といえば解るはずだと」
お知り合いですか、と尋ねるトニオ夫人に、ソラを除いた三人は驚愕する。
ソラは目をパチクリさせると、うわぁ~と笑顔になって「りんちゃん!」と言った。
「ふーたん、いきゅ~」
「おいおいおいおいおい、ふー…ちょっと待て!」
危うく水色の光翼を出しそうになったソラを、アクセルは慌てて抱き抱えて止めた。
事情を知る仗助や億泰はともかく、スタンドの事すら知っているか定かでない人の前で、彼女が飛んでいく姿を見せる訳にはいかない。
「やっべ~…もしかしなくてもバレてる?」
「どーすんだよぉー。此処は正直に名乗り出る選択するかぁ…?」
徐倫はいつ、俺達が尾行していた事に気付いたのか?
その疑問は…直接、本人に尋ねるしか手はない。
「俺がいく。仗助と億泰は此処で待機しててくれ」
アクセルはそう指示すると、ソラを抱っこしたまま、二階へ続く階段へ一歩ずつ上がっていった。
◇◇◇ ◇◇◇◇◇ ◇◇◇
階段の終着点であるニ階は、一階とほぼ同じデザインの造りだ。
違うところは、席の数と窓から辺りの景色が見渡せる事。
彼女…徐倫と相手と思われる男性は、そんな窓際のいい席で、海の幸をふんだんに使ったペスカトーレを味わっていた。
「りんちゃーん!」
抱っこされて身動きが制限されていたソラ。
とうとう我慢できなくなり、空色の光翼を広げて、徐倫のもとへパタパタと飛んでいく。
徐倫はすぐに立ち上がると、一直線に飛んできたソラをぽふっとキャッチした。
「久しぶり、ステラ」
「あい~」
優しく抱きしめて頬を擦り合わせる徐倫。
ソラも、久しぶりにあう大好きな友達との再会に嬉しさでいっぱいだ。
「アクセルも久しぶり」
「よぉ…元気そうだな」
いざ、対面して不思議と緊張感や気まずさはなかった。
徐倫もまた強敵を倒す為、共に戦った同志に再び巡り合えた事を心から歓迎している風な表情だ。
「いつから…分かった?」
「商店街を渡っている所で。なんとなく誰かにつけられてるって感じてたから…。相手がステラだって分かったのは『コレ』のおかげ」
徐倫は、左手の甲に浮かび上がるメビウスの輪を象った光の紋様。
「これが強く光ったの…だから、ステラがきてるって確信した」
「そっか…お前、『あの時』に正式な契約者になったんだったな」
遡る事、約120年前…ジョナサンとエリナ、ジョースター夫妻は、ソラの初めての契約者となった。
それ以降、契約の紋様は世代ごとにジョースター家の…星の痣をもち、ソラの心と声に共鳴する人間に受け継がれていった。
徐倫は、一年半前にその紋様を継いで正式な契約者となったのだ。
「…ところで、アクセル。下にいるのは誰?」
笑顔から一転、少し不機嫌そうな顔になった徐倫は即座に問いかけてきた。
こりゃ、誤魔化しは通用しないだろう…と判断したアクセルはありのままの事実を伝えた。
「まったく…父さんは」
ハァ…と溜息をもらして、肩を竦める徐倫。
「分かってやれよ。子どもを思う親心ってやつだ」
「別に怒ってないわ。…ただ、ちょっと心配性になりすぎてないって思っただけ」
そう言うと、足元でちょほんと佇んで、不安そうな目で見上げているソラの頭をひと撫でする。
「あたしは、この人に訊きたい事があって…この町にきたの」
徐倫が真面目な顔で、もう一人席に座る人物の方へ視線を移す。
後ろ姿で、顔を見せていないが…短く整えた白銀に近い髪と黒いスーツ姿の男性だ。
アクセルはハッとした。
何故なら…後ろ姿を見た瞬間、記憶の中にある見覚えのある人物と重なり合ったからだ。
「……もう、お喋りはすんだのか?」
アクセルが声を発する前に、男性が確認の問いを口にした。
その声を聞いて、アクセルの予想は確信へ変化した。
「ブォン ジョルノ、アクセル」
「…ッ!?……リゾット・ネエロ」
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