【14】夏は事件がいっぱい!
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「ああ…徐倫。なんで君はあんな、あんな…得体のしれない男なんかとイタリアンへ行くんだっ!」
電柱の影で、アナスイは下唇を噛んで恨めしく二人が入った【トラサルディー】を見つめる。
闇の回廊を使って、彼の後ろに回ったアクセル。
だが、気配に敏感なはずの彼は徐倫と謎のデート(?)相手に夢中で、全く気付いていない。
「そうか…徐倫。君は、だまされているんだな。そうだ、そうに違いない! 待っていろ…今すぐ君を助ける」
「おい…」
「君を誑かすいけすかねえ奴をバラバラに解体して、君の目を覚ましてやるんだ…」
「おい、アナスイ…」
「そして、あの空条承太郎…君のお父さんに認めてもらう! 全世界にいる人達……祝福しろ! 俺達の結婚にはそれが必要だ!」
「いい加減にしろ、このアホッ!」
アクセルは怒声をあげて、バシッとアナスイの頭を叩いた。
いてぇ…と頭を利き手で抑えてしばし中腰で蹲るアナスイ。
「誰だ…っ! お前は…アクセル!」
「よーやく気付いたか…」
「あにゃちゃん。うっしゅ(うっす)!」
「ステラ! そうか…君も俺と徐倫の仲を応援しに来たんだな!」
「んな訳あるか…さっきから、何ブツブツおっかない独り言漏らしてんだよ」
アクセルは腕を組んで、呆れた顔でアナスイを見下ろす。
アナスイは少し冷静さを取り戻したのか、首を小さく左右に振ると、何故ここまできたのか…経緯を語りだした。
あの戦いの後、アナスイは徐倫に告白をした。
共に戦った仲間達…および、承太郎やその他の関係者が周りにいたけれども、彼は覚悟を決めてプロポーズしたのだ。
すると、徐倫はこう言った。
『まずは、友達からでいい? それでお互いにうまく付き合っていけるなら考えてもいいわ』
アナスイはガッツポーズした。
やった…徐倫が、俺の告白を受け入れてくれた。
これは、俺達が夫婦になるための第一歩なのだと…!
「おい、水差すようで悪いんだが、それって『うまくいかなきゃ、ずっと友達でいましょう』宣言じゃねえのか?」
「そんな事ない! 実際、俺と徐倫はうまくいってる!」
「しょーなん(そーなの)?」
「ああ、徐倫は今、アメリカの父方の実家にいるみたいだが…俺は訳あって、フランスにいる。遠距離恋愛というものだが、定期的に手紙は送ってる」
「…手紙ねぇ、失礼だけどよ…どの位の頻度で送ってる?」
「一日一通…欠かさず送ってるに決まってるじゃあないか! だが、少し寂しいのは彼女が送ってくる手紙は一ヵ月に一通な事だ。
ああ……忙しいのか…徐倫」
「そんなに頻繁に送られたら、逆にドン引きするぜ…つーか、やってる事がストーカーじみてんじゃねーか」
「仕方ないだろォオオオ! 携帯の番号やメールアドレスを俺は知らないんだぞぉおお! あの空条承太郎が睨みきかせて、誰も教えてくれないんだぁああああ!」
頭を両手で抱えて、る~と滝の涙を流すアナスイ。
彼には悪いが、承太郎の判断はナイスだと、アクセルは内心思った。
ぶっちゃけ、自分が女だったらこういう男とは付き合いたくないのが本音だ。
ちなみに、徐倫宛に送られたその大量の手紙の行方だが―――
父方の曾祖母がそれに目を通してしまい、「ジョリーンたら、こんな熱烈な彼氏がいるのね~」と、夫に話したりして専ら、彼女の話題のネタとなっていた。
曽祖父経由で、その事を知った父が、娘の目に触れないよう、親友も巻き込んでほとんど処分していたのだが…
そんな裏事情を当の手紙の主は知る由もない。
「あにゃちゃん、おなきゃぐぅーしとるん? こりぇあげりゅ(これあげる)ー」
「うぅ…ステラ。君は相変わらず優しいなぁ」
「一歳児に慰めてもらってる事自体、どうかと思うぞ。お前、いい大人だろうが…」
空腹すぎて泣いてるのかと思い、ソラは持っていたたまごボーロの袋を差し出す。
アナスイは涙を腕で拭きながら、それを有難く受け取った事に、アクセルはすかさずツッコむ。
「はっ、思い出した! 徐倫はあのレストランに…!」
「おいおいおい、そのまま突っ走るつもりか!」
「当然だ! 徐倫に襲い掛かる魔の手を俺が排除しなければならない! 待ってろォオオオ、ジョリーン!」
「だから、暴走すんな! 和やかなイタリア料理店の一コマを血塗れのお昼のサスペンス劇場にするつもりか!
そんな展開は、あの手フェチの殺人爆弾魔の一件でこりごりなんだよ! まずは冷静になれぇええええ!」
今にも突入しそうな解体男を羽交い絞めして、説得するアクセル。
「ハァハァ…よーやく追いついたぜ。…てあれ? アクセルの奴、野郎捕まえて何してんだ?」
ホテルからあちこち探し回り、ようやく目的地に辿り着いた億泰。
アクセルが、喚き散らす見知らぬ青年を引き留めている光景を見て、首を傾げる。
「あんね…あにゃちゃん、ぼーしょー(暴走してる)。あくたん、めっ!」
「??? あーん…要は、あいつとめりゃいいんだな?」
ソラの説明はイマイチ解らないが、なんとなく状況から判断して、億泰はアクセルの助太刀をする事にした。
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