【14】夏は事件がいっぱい!
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*** ****** ***
「アナスイ…って誰?」
「徐倫の彼氏?」
ロクサスとシオンが聞きなれない人の名前に疑問符を頭に浮かべる。
「アナスイって奴は…一年半前、徐倫が訳あって刑務所にいる時に知り合った仲間の一人だ」
「『刑務所』って物騒な単語がでてくるあたり、そいつ…やばい奴なのね」
ラクシーヌが、鋭くツッコんできた。
いや、彼女の言う事は間違っている訳じゃない。
「それで、そのアナスイさんとはどんな男性で、どんな罪状で投獄されていたんですか?」
「わざわざ、深く追及するのかよ。…仕方ねえな。アナスイって奴は―――」
―――『ナルシソ・アナスイ』
彼は極度の分解癖があった。
その性癖の強さは、10歳の頃にポルシェ一台を細かに分解した位だ。
その特技が、スタンド能力によるものだと理解していたのかは不明だが、彼はそれを恐れる事無く、自らの一部のように受け入れていた。
そんな一風変わった特技が凶器へ成り果てた理由は、彼が青年となり、当時付き合っていた女性が浮気した所為だ。
憤怒と嫉妬から、彼は浮気相手と彼女を引き離すために能力を“発動させた”。
…結果は、想像にお任せしたい。
「最初は、手がつけられねえ位、おっかない奴かと思ったけどよ…あいつ、徐倫に惚れちまってさ。それがきっかけで、案外話しやすくなった」
「“恋は人を変える”というけどよー、そいつ一度、付き合ってた女バラしたんだろ? そういう奴を彼氏だなんて、承太郎も認めねえだろ」
シグバールが、コーヒーをかき混ぜながら言う。
ぶっちゃけ、現実はその通りである。
事件の際に行動を共にしていた時、承太郎はアナスイの事をあまり快く思っていなかった。
「でも、徐倫はある程度、あいつの事を認めてた風に見えたんだよな~」
「それで…徐倫の相手は、お前の推測通り、『彼』だったのか?」
ゼムナスが訊くや、アクセルは首を左右に振った。
「それがよ…」
*** ****** ***
仗助達に同行して、杜王グランドホテルを見張る事にしたアクセル。
ソラも、徐倫に会いたかったのかついてきた。
「りんちゃん、まだぁー」
「ステラ、頼むからでてきても静かにしててくれよぉー。今回、徐倫ちゃんにこっちの事がばれたらやべぇんだからな」
仗助は、ソラが羽を出して徐倫に近づかないように、抱っこしてしっかり固定している。
「おーい。パン買ってきたぜぇ~!」
億泰がコンビニ袋を手に、やってきた。
「結構買ってきたなー」
「まずはアンパンに、ジャムパン、クリームパンだろ。最近はまっているオーソンのスペシャルロールに、抹茶シナモン!」
「おい、億泰…甘いもんばっかじゃねーか」
「俺が甘い物好きなの知ってるだろぉー。文句言うなら、仗助…お前買いに行ってくりゃよかったんだよぉー」
仗助の文句に、億泰はブツブツと言い返しつつ、がさごそとレジ袋から商品をとる。
「ほれ、ステラの大好きなプリンも買ってきたぞぉー」
「わーい!」
ソラにも、食事を用意していたようだ。
大好物のプリンを目にして、ソラは大喜び。
しょうがねぇな…とアンパンをとり、かぶりつく仗助。
アクセルも、適当に商品を選ぼうとしたその時だった。
「あっ、りんちゃん」
仗助に抱っこされたソラが指をさした。
三人の視線がそちらへ向くと、ホテルの出入り口の自動ドアをでていく徐倫の姿を見つけた。
「億泰、お前これ片づけとけ。俺とアクセル、ステラはいく!」
「ええっ~…折角広げたのに…」
「またレジ袋に入れりゃ済むだろうが…あと、これゴミ箱にいれといてくれ」
そう言って、アンパンのカラの袋を億泰に渡すと、仗助はソラを抱え直して動き出す。
アクセルもハァ…と軽く溜息をつくと、足音を消してついていった。
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