【14】夏は事件がいっぱい!
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「カナンよ…とうとう関連商品までつくられたのか」
「あの黎明王の所に嫁ぐって時点で、いつか生産されるとは思ってたけど…」
「カナンちゃんの饅頭か…見てみたいな~」
ゼムナス、ラクシーヌ、デミックスが口をそろえて言う。
「ねえねえ、カナン饅頭食べたの?」
「どんな味だった?」
「なんつーか、コンビニで売ってる饅頭よりも味はワンランク上かな…って、お前ら、事件の事聞きたいんじゃなかったのかよ!」
親友二人の質問に対して、味の感想を細かく言っている途中で、論点がずれている事に気づき、アクセルは思わずツッコむ。
「あ、そうだった!」
「ねえ、犯人は誰だったの?」
「経緯はいいからさっさとホシ言いなさい」
「シオン、ラクシーヌ。それだと意味がありませんよ。物事は【結果】だけを求めては意味がない…そこに過程も大切なんです。
【答え】ばかり求めたら、大事な真実まで見失ってしまいますよ」
ゼクシオンが、事件の真相を知りたがるシオンとラクシーヌに苦言を呈する。
「おっ、ゼクシオンがなんか小難しい事言っている」
「だが、的は射ている」
デミックスとレクセウスが各々の意見を言う中、アクセルが「確かにな…」とゼクシオンの意見に同意する。
「ゼクシオンの言うとおりだな。結果だけ見ても意味がねえんだ。例えば一回の任務で失敗しても、その経験を次に活かす事ができる。
要は、過程ってのは、自分を成長させるための【鍵】みたいなもんだ」
「そうか…【鍵】か」
アクセルの説明に、ロクサスはなんとなく納得する。
「結果ばかり重視して、悲惨な目にあった人もいますからね」
「それに該当する奴見た事あるぜ…」
アクセルが言うその人物とは、とある世界のマフィアのボスの事をさしている。
ちなみに、そのボスは結果ばかり追求した結果、15歳の学生に特殊能力でぶちのめされた上に、永遠に苦しめられる【呪い】をかけられて、今も尚消息不明である。
「余談が過ぎるぞ…さあ、本題に戻してくれ」
「へいへい…」
ゼムナスの一声により、アクセルは話を再開した。
*** ****** ***
普賢とカナンは、城の人達一人一人に聞き取り捜査をする事にした。
犯行時間帯に何をしていたのか、それを証明できるか否か…。
探偵さながらの行動をしている二人とはよそに、ソラは犯行現場でまだぶちまけられている状態のカナン饅頭をジッと観察していた。
「あら、ふーちゃん。そこにいたの?」
「かなたん、かなたん」
ソラは小さな手をあげてカナンを呼ぶ。
なになに…とカナンが彼女の元へ近づくと、ソラは掌を出した。
「あんね、ぐりゅぐりゅ~」
「……ん?」
「まんじゅー、ぐりゅ~!」
破壊されたカナン饅頭を指さして、ぐるぐると指をまわす。
その行為に、カナンは疑問符が頭に浮かぶが、普賢は「ああ…そうか」とその意味をすぐに察した。
「よく、刑事ドラマで現場検証の時に、死体のあった所にチョークで印をつけるでしょう。それをしていないから、印をつけてって言ってるんだね?」
「うん!」
「コゼット師匠(せんせい)、リーシェ師匠…ふーちゃんに何教えてるんですか」
普賢がにこやかに笑って言った事に、ソラは「YES!」と嬉しそうに頷く。
カナンが冷や汗を流して、自身の二人の師匠の教育方針に若干疑問を感じてしまう。
その時、普賢はあっ…とあるアイディアを思いついた。
「ふーちゃん、君のスタンドを出してもらえるかい?」
「ふぅ?」
「『スタンド』って…以前、リエさんが言っていたふーちゃんの新しい能力の事?」
「そうそう…見た目はワンダニャンなんだけどね。あの子は匂いに敏感だから、例え血を洗っても、その匂いをかぎ分けられるんだよ」
僕の言いたい事解る、と普賢がニコッと笑みを浮かべる。
彼がやろうとしている事の意味を瞬時に理解したカナンは「なるほど…」と小さく頷く。
「じゃあ、ふーちゃん。頼むね」
「うん! わんだにゃーん」
ソラがその名を呼ぶと、全身が発光し、そこから淡い白の光の球体がでてくる。
それが徐々に形を象っていき、額に星マークがある、犬のようで猫のような生物…ドリームイーターのワンダニャンそのもの…が現れた。
「確か…正式なスタンド名は【ドリーム・シンフォニア(夢想の交響曲)】というらしいよ。僕とふーちゃんは『ワンダニャン』って呼んでるけど」
『にゃふ!』
「うわぁ、これがスタンド…」
ぱたぱたと丸い尻尾を振り、ソラの周りをくるりと一周するドリーム・シンフォニア…もとい愛称『ワンダニャン』。
「ワンダニャン、お願いがあるんだ。いいかな?」
『にゃふ?』
「あのお饅頭を壊した犯人を見つけてほしいんだ」
普賢が指をさす先には、未だに床にべっとりと中身が飛び出ているカナン饅頭。
ワンダニャンはキラーンと目を輝かせてぴょーんと跳躍した。
「ワンダニャン、食べちゃダメだよ」
普賢に釘を刺されて、ワンダニャンは落ちている饅頭を舐めようとしたのを寸前でとめた。
食べようとしてたんかい、この子…とカナンは顔を引くつかせる。
ワンダニャンは涎を垂らしつつ、「にゃふ…」と切なそうに饅頭を見つめながら、くんくんと匂いを嗅ぐだけにした。
どうやら、躾は行き届いているようだ。
「わんだにゃん、どぉ?」
本体であるソラが背中をさすりながら尋ねると、ワンダニャンは「にゃふ!」とフンと鼻息を荒くして、猛ダッシュで駆け出して行った。
「どうやら、“犯人の匂い”を見つけたみたいだね…」
「えっ、あんな一瞬で…!?」
「人それぞれに指紋や声紋があるように、匂いも違う。ワンダニャンはそんな些細な違いさえも見抜く得意技があるんだよ」
さあ、早く次の事件が起きる前に未然に防ごうと、普賢が呼びかけると、ソラとカナンは彼と共に、ワンダニャンの後を追う事にした。
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