【14】夏は事件がいっぱい!
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服選びを一旦中断して、ソラが普賢と一緒に食事をしている時に、事件は起きた。
キャアアアア―――!!
響き渡る悲鳴に、普賢は立ち上がり、ソラも空色の光翼を広げてその現場へ向かった。
複数の使用人達が取り囲む形で立ち尽くしている。
すみません、何かあったんですか? と尋ねる普賢をよそに、ソラは野次馬の足元を掻い潜って、その現場を目にしてしまった。
「ふぅ!?」
目を丸くして口をぽかーんと開けて驚くソラ。
ごめんなさい、ちょっと通してと人込みをかき分けて、普賢もその光景に驚いた。
「これは…」
「ああ…ああああ…なんて事なの…!」
カナン付きの侍女、ミリアがこの世の終わりをみたかの如く、衝撃の顔つきで叫ぶ。
「カナン様が…カナン様の御顔が真っ二つに…!」
*** ****** ***
「ひぃっ!…マジで!? カナンちゃん誰かにやられちゃったの!」
「まさか…エクレシアがか!?」
「マジで、っていうか本物の殺人事件起きちゃった訳?」
デミックス、ヴィクセン、ラクシーヌから、それぞれ意見が飛び交う中、ゼムナスははてな…と腑に落ちない顔つきだ。
「アクセル…カナンは誰かに負傷させられたのか? この間…」
「うん。あんたの言いたい事は解る。つーか、他の奴らも騒ぐなよ。まだ話の途中だぜ」
アクセルが騒ぐメンバーを宥めていると、ソラがこう言った。
「かなたん、なかでてた~。とりょとりょ~」
「ふーちゃん、トロトロって…」
「いけません、シオン! 考えたら気分が悪くなりますよ」
ソラが口にした言葉に、シオンがどういう意味か分からずにいると、ゼクシオンが慌てて思考するな、と忠告する。
「あのな…確かに“中身は出てた”けどよ、グロい話題にはなんねーよ」
「えっ…じゃあ、カナンさんは生きてるって事なのか?」
ロクサスは、頭に疑問符を浮かべている。
アクセルはハァ~と息をつくと、話を再開した。
*** ****** ***
「カナン様の目に穴があけられている!」
「カナン様の頭が割られている…なんてむごい事を…」
「うっ…ぐすっ…カナン様の顔の表面が剥がれて、中身が丸見えに…なんと御労しい」
「ちょっとちょっと…貴方達、人様が誤解する様な事言わないでちょうだい」
使用人たちが、シクシクと泣き喚く中、当の被害者(?)であるはずのカナンが冷や汗を流して腕を組んで立っている。
「カナンさん…使用人の皆さんの気持ち、僕も分かるよ。だって…尊敬している君の御饅頭があんなに悲惨な目にあったんだもの」
普賢が悲しそうに、その残骸を見つめる。
そう、この事件の被害者はカナンではない…“カナン饅頭”である
「ああ、折角料理長が試行錯誤を重ねた末に作り上げた…最高傑作が…!」
「なんと残酷な仕打ちを…!」
「これは、カナン様に恨みを持った者の可能性が高いです! カナン様、必ずや仇は打ちます!」
「いや、だから私は生きてるって」
使用人達の意気込む姿に、カナンはおいおい、とツッコむ。
「ところで、このカナン饅頭の中身って何が入ってたんですか?」
「三パターン用意してました。クリームシチュー味、ダブルカスタード味、白あんこと隠し味にアレを加えたものを…」
「なるほどね。旦那さんとは対をなす味に仕上げようとしてたのか…白あんこと隠し味が気になるな~」
「…って、普賢さん。論点がずれてきてますから」
カナンがすかさずツッコむと、「ああ、ごめんごめん」と笑って軽く謝る普賢。
「でも、食べ物を粗末にしちゃいけないね」
「そうね…これを壊した犯人も気になるし…探しましょうか?」
「ふーたんも~♪」
こうして、三人はカナン饅頭損害事件を捜査する事になった。
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