【14】夏は事件がいっぱい!
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ぎらぎらと陽の光が照り付ける7月序盤の夏の午後。
ソラは、親友の月華の所へ遊びに来ていた。
「あつー」
「あちゅ~」
縁側にいた二人は、汗を流して横になる。
「くーちゃん、ふーちゃん。そこ暑いからこっちにきなさい」
「「あーい」」
コゼットの呼び声がして、月華とソラはとことこと歩いてエアコンの効いた奥の部屋へ行く。
涼しい風が広がる空間に、二人ははぁ~と気持ちよさそうに目を細める。
「はい、今日のおやつですよ」
「わーい!」「ぷりん~♪」
コゼットが運んできたデザートのプリンに、目を輝かせるソラと月華。
食べる前に、おてて洗いにいきましょうねと笑って言うコゼット。
彼女に言われるままに、手を洗いにいく二人。
数分後…帰ってきた二人は目を大きく見開く事態が!
「ふぅ!?」
「ぷりんなーい!」
テーブルにおいてあった生クリームとチョコクリームつきのプリンが容器だけ残して、跡形もなくなくなっていたのだ。
ぽかーんとする月華と、吃驚するソラ。
「ぷりん、どこ? ぷりんは?」
「ぷりん、いくえふめーになった!」
おろおろと困惑するソラ。
月華が、テーブルの下をみたり、床に落ちていないか探し出す。
「くーちゃん、ふーちゃん。落ち着いて」
「ままー、ぷりんどっかいった!」
「ぷりんまいご!」
「はいはい、おちついてね。それからプリンは迷子になったりしないわよ~。これは…誰かが食べたのよ」
子ども達がわいわいと騒いでいる様子を、微笑ましく見つめていたコゼットの表情がキリッと真剣な顔つきに変化した。
母親の表情を直視した月華はハッとした。
息子は知っている。
母がこういう風な顔になるのは、決まって誰かが悪い事をした時だ。
以前、しつこく母に「決闘をしろ!」と言いよっていた大きい赤い甲冑をきたおじさんもそうだった。
ちなみに、そのおじさんはいつも、母にコテンパンにやられて、追い返されている。
「ままー、これじけん? はんにんおるん?」
「ねてないよ~?」
子ども達は「事件」と言う単語を既に知っている。
これは、コゼットが運営するカフェ・レストランや居間にテレビがあり、そこからニュースやドラマが流れているため、自然と覚えた言葉。
しかも、二人が頭に想像で描いている『事件』とは、殺人事件の印象が強い。
そのため、ソラはどこにも被害者が倒れていないため、『ねてないよ』と上記の発言を漏らしたのだ。
さしづめ、この場合は、被害者ではなく“被害物”と表現した方が適切かもしれない。
「ええ、犯人はいるわ。プリンを食べちゃったいけない犯人はもう特定できているの」
「ほんとー!?」
「どーきは? ぷりんにうらみあったん?」
息子の発言に、コゼットは苦笑いしてしまう。
プリン事態に恨みがあるなんて…トラウマがあるか、甘味嫌いでない限り、そういう人はまずいないだろう。
「あのね、今回の事件はいたってシンプル。犯人はくーちゃんとふーちゃんがいないのを見計らって、甘くておいしそうなプリンを食べちゃったのよ」
「ふぅ! ぷりーん!」
「ぷりんたべたのだれ?」
犯人は一体誰なのか…?
コゼットは、子ども達の前でその名前を口にした。
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「…で、犯人は誰だったのだ?」
「くろぴよ~」
ゼムナスの質問に対し、ソラが元気よく犯人の名前を言った。
「はっ? 黒ピヨとは…あいつか!」
「ああ、ほさ部の壁にアジトを作ろうとしている伝説の三忍?…だった奴」
ヴィクセンは誰の事か一瞬迷ったが、すぐにその犯人像が頭に浮かんだ。
アクセルも「その通り」だと犯人がどんな人物なのか、補足説明する。
「動機は?」
「『夏バテしてて、何か冷えた物がほしかったんだ』とよ。たまたま、テーブルにプリンが置いてあったから仲間とそれを食べたらしいぜ」
ちなみに、黒ピヨ達は嘴部分に食べカスがついていた事が犯行証拠と認定され、コゼットに説教されるオチとなった。
なんとも、あっけない拍子抜けな珍事件だろう…とゼムナスとヴィクセンは遠い目をしてそう思った。
「くーちゃんのまま、ぜりーくれたー」
「そうか…よかったな」
「まあ、あの事件はまだ平和な方だったぜ」
「むっ、アクセル…その言い方だと他にも事件があったようだな。洗いざらい白状してもらおう!」
「お前は昭和の刑事(デカ)かよ。はぁ…仕方ねえなー。フー…カナンの所に遊びに行った時に起きた事件を、この二人に話していいか?」
「いーよ~」
ソラは快く頷くと、(アクセルが翻訳してあげながら)次に起こった夏の事件を話し出した。
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