【13】とある少女のトリップ体験
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こうして、私はリクの自宅へ訪れる事になった。
海が一望できる高台にある大きな家だ。
ゲーム中はあまり気にしていなかったが、リクは裕福な家庭なのかもしれない。
両親は単身赴任でいないと言ってたし、ほとんど一人暮らしに近いのかもしれない。
「何か飲みたいものあるか?」
「えっと…それじゃあ、コーヒーもらえるかな」
「砂糖かミルク入れるか?」
「…ミルクお願いします」
一瞬、コーヒーなんて飲まないかな…と感じて、訂正しようかと思ったが、普通に応対してくれたのでよかった。
というか…リクは日常的にコーヒーを飲んでたのかと新たな発見をした。
「ほら、どうぞ」
「ありがとう…ってブラックで飲むの? 苦くない?」
「テストが近い時に、これを飲むとはかどるんだ。それに、この味にもう慣れたしな」
味覚まで大人なのか…この子は、と感心しつつ、手渡されたミルク入りコーヒーを一口飲む。
うん、世界は違えどコーヒーの味は似通っている…おいしい。
「なあ、結華が住んでいた故郷ってどんなところなんだ?」
「うーん…この島より大きくて、人がいっぱいいるかな。私が住んでいた所は四つの県がまとまっている島国みたいなものなんだけど…」
「【県】ってなんだ?」
「えっと…分かりやすく言うと、町みたいなものかな。絵で書くとこんな感じ…」
自慢するわけじゃないが、美術の成績は常に4か5だ。
小さい頃から絵を描くのが趣味だったし、日本地図をみるのも好きだったので、すべての県庁所在地もいえる。
「私は住んでいるのはここ、四つの県のうちの右上にあたるところだよ」
「へぇ…一つの島に、こんなにたくさんの町があるのか」
「各県によって、習慣や言葉遣いも違うんだ。けれど、そこが面白いんだよね~」
異国の文化や宗教にも寛容的だし、我ながら誇るべき故郷だ。
その分、問題点も結構多いけれど…故郷を嫌いになった事はない。
「…もしかしたら、旅の途中で結華の故郷にいけるかもしれないな」
「えっ…ああ、うん…そうだね」
期待に胸を膨らませているリクに、結華は少し心が痛む。
多分、グミシップがあっても星の大海から、私の故郷を探し出す事は…かなり難しいと思う。
ん? あれ…まてまてまて。
今…私の故郷を探すって言ったけどそれって―――
「もしかして…私も旅に連れていってくれるの?」
「ああ、そうだけど…」
「えええっ!」
「そんなに驚く事でもないだろ?」
「だって…今日出会ったばかりだよね? 私が言うのもなんだけど、素性のわからない人を旅に連れていくなんて、物騒じゃない?」
リクは意外と慎重派だと思ってたけど、出逢って間もない人を信用するなんて、ソラと同じく純粋じゃないかな…。
いや、もしくはデスティニーアイランドに住んでいる人の気質なのかもしれない。
初対面の人でも、家族同然で受け入れるアットホーム的なところがあるとか…。
よく映画とかで、ある昭和のよき時代の御近所が助けあったりする、今の時代に欠けているようなつながりが深いのかもしれない。
「結華は、故郷に帰りたいんだろ。だったら、一緒にきても問題ないじゃないか」
そういえば、【◎丁目の夕日】の続編がそろそろ公開予定だったっけ…と脳内の思考が脱線しかかっていると、リクが回答を返してきた。
「えっと…うん、帰りたい」
「なら決定だ。それに…結華と一緒にいると、旅の途中で色々と話題に困らないだろうし、ソラ達だって退屈しなさそうだ」
そう薄らと笑いながら言うリクの表情は、どこか大人びていて不覚にもときめいてしまった。
「…ありがとう。リクは優しいね」
「そんな事無いさ」
「いやいや、まだ15歳なのにしっかりしててさ…お姉さんも見習わないといけないよ~」
「お姉さんって…大して年は変わらないだろ」
そう言うリクに、結華は小首を傾げる。
「リク、私が何歳に見えると思う?」
「…ソラか俺と同じくらい」
正直に返ってきた返事に、結華は一瞬瞬きするが、可笑しそうにププっと吹き出してしまう。
「なんで笑うんだよ…」
「いやいや…そうだよね、外見年齢ではそう見えるかもね」
故郷にいた時も、よく実年齢よりも年下に見られる事があった。
どうやら、外見年齢基準とは、この物語の世界でも適応されるみたいだ。
「フフッ…実は今年で18歳なのです」
そうカミングアウトすると、リクは呆然として、カタンッと持っていたカップを落とした。
こういう瞬間って、面白いんだよね~。
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