【13】とある少女のトリップ体験
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準備が一通り終わった後、私は三人と一緒に水平線に沈む夕陽を眺める。
澄んだ海が蒼色から黄昏色に染まっている…とても綺麗だ。
あっちでは、下校途中にちょくちょく夕陽を眺めていたけれど、そういった感情は起きなかった。
ああ…私は、これから物語の主要人物になる三人と一緒にこの海を…夕陽を…同じ景色を見ているんだ。
そう思うと、胸がじわりと熱くなる…。
こういうのをどう表現したらいいのだろう。
“感動”“興奮”
そんな普遍的に使用される言葉で言い表すのが難しい位、私は今までにない強烈な感情にとりつかれていた。
「なんか…結華って、ずっと前から俺達の友達だった気がする」
「えっ…?」
ソラの何気ない言葉に、結華は間抜けな声を出した。
「うん、私もそう思ってた。結華と一緒にいると心が和やかになるよね」
「そうかな~」
カイリからも笑顔で言われ、結華はこめかみを指で掻きながら考える。
「結華は、引越しで来たって言ったけど…どこからきたの?」
「…えっ、ああ…遠い所から」
「それって…この島の外から来たってことだよな!」
カイリのさりげない質問に答えると、ソラが目を見開いて話題に乗っかってきた。
教えて教えてと言わんばかりに、目を輝かせるソラ。
「ソラ、近い内に島の外へでるんだ。楽しみはその時までとっておくものじゃないか」
うわ…どう答えればいいんだよと悩んでいると、リクが助け船をだしてくれた。
ソラは「そうか…そうだな!」と笑って納得した。
ホッと小さめの安堵の息を漏らす結華。
すると、「ん…?」と頬を触れる様ななにか…視線を感じた。
目を少しずつその方へやれば…リクがこちらをみていた。
◇◇◇ ◇◇◇◇◇ ◇◇◇
ソラとカイリが自宅へ帰った後…リクに呼びとめられた。
「なあ、引越しでこの島に来たんじゃないんだろう?」
「…えっ…」
「別に責めている訳じゃないんだ。本当の事を教えてくれないか?」
隠していた事を指摘されて、思わず目を泳がせてしまう。
けれども、リクの真剣な眼差しに耐えられなくて…仕方なく事実を話す事にした。
「よく分からないんだ…。いつの間にかよく知っている町の風景が、この島に変わっていたっていうか…」
「…そうか、此処とは違う世界からきたんだな」
私の説明する事に、リクは疑う事無く相槌を打ちながら聞いてくれた。
よくよく考えてみたら…深刻な問題が浮上した。
私、今日どこで休めばいいんだ…と。
我ながら、自分の考えのなさに呆れてしまう…この先、いつ自分の故郷に帰れるかどうかも解らない。
一生、島で自炊生活を体験しなくてはならないのに…下手をすれば、この年でホームレスになるかもしれない。
島にアルバイトを募集している所はあるのか…寝床付きで!? と頭をフル活動させて悩んでいると、リクが言った。
「もしよかったら…俺のところに来ないか?」
「へっ…?」
「結華の話で、ようやく島の外にも世界がある事に確信を持てたんだ。その御礼って事でどうだ?」
「あー、でもさ…ご両親に迷惑がかからないかな?」
「うちの両親は仕事でいないんだ。家には俺一人だけ。だから安心していいさ」
マジですか…! と口をポカーンと開けそうになった。
でも、お言葉に甘える事にしました。
ありがとう…リク!
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