【13】とある少女のトリップ体験
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拝啓 出張に行っているお母さん
私は、昼食を食べ様に行こうとしたらいつの間にか別世界へトリップしていました。
何故、トリップしたのか分かったのかと言うと…熱射病(?)で倒れていた私を介抱してくれたのが人を見た時だった。
その人物は―――肩くらいある銀髪の整った顔立ちの少年と、茶色のツンツン頭の少年だった。
おや、どこかで見た事のある顔だ。
けれども、会った事はおそらくない。
テレビの有名子役か何かだろうか…という一つの仮説が頭をよぎったが、すぐさま別の有力な仮説が立った。
一年前、友達の一人が進めてくれたゲームソフトがある。
一人の少年が、某夢の国のキャラ達とともに異世界を旅する物語―――《キングダムハーツ》
その主人公の少年とその親友に…視界に映る二人は瓜二つだった。
(おお…間近で見れるなんて、夢みたいだぁ…)
友達の一人は、たしか「13機関」という黒コートのナイスミドルなおじ様と美形のキャラ集団が好きだって言ってたな。
あの組織も好きだけど、私はスタンダードに王道的なキャラが好きになるタイプだ。
(こういうのを至福のひとときっていうのかな)
思わず顔がほころんでしまう。
ここはサインをもらうべきだろうか…。
ぼぉーとしていると、何やら銀髪美少年のリク君が話しかけてきた。
「あのさ…大丈夫か?」
「あっ…うん、大丈夫です!」
「見かけない顔だよな…。名前はなんていうの?」
今度は、ソラ君が名前を尋ねてきた。
ここは自己紹介しないといけないと思い、咄嗟に返答した。
「あっ、はじめまして。私は結華って言います。よろしく」
出来るだけ、不審者に見られない様にニコリと笑いながら挨拶した。
「結華か、俺はソラ。こっちは友達のリクって言うんだ。よろしくな!」
ソラも屈託ない笑顔を向けて、結華に自己紹介をした。
リクは、少し黙っていたが…すぐに私に「よろしく…」と挨拶した。
まあ、突然の島の出身でない子が倒れていたら、不審がるのもムリないかな…。
「ところで、結華はどうして倒れていたんだ?」
「ああ…えっとー」
こんな場合は、どう答えればいいのだろうか…。
巷で大人気の夢小説の展開だったら『実は…違う世界からきたんだ』って言ったら、大抵は主役クラスのキャラは普通に信じる。
けれど…私は、そんなにうまい事、初対面の人が信じたり、信用してもらったりする展開はあり得ないと思う。
そりゃ、夢小説の主人公さんたちならば、特殊な能力や持ち前の性格など、特異的な『資質』を所持しているからあり得るのだろう。
でも、私は何の力もない一般人です。
『トリップしたら、逆ハーうはうはな展開って…憧れるよね~』と親友はいつも羨ましげに呟く。
けれども…現実はそんなにショートケーキのように甘くはないんだよ。
だって、此処は、私の知る現実ではない…。
ソラとリクが生きている『別次元』の世界だから。
生きている人達の心を一瞬で虜にするなんて事…普通は出来ない。
それこそ、神様に「逆ハーにしてほしい、好きなキャラを振り向かせる事ができるように」とお願いするなら別だけど。
でも、それは…邪道だと私は感じる。
持ち前の性格から、キャラ達に好かれる素質がもともとあるなら問題ない。
純粋な正統派の主人公は大好きだ。
けれども、計算づくで無理やりキャラ達の心を支配するやり方を行う…よく夢小説で出てくるミーハーなキャラは失礼ながら嫌いだ。
そんな事する位なら、キャラ達を遠くから見守るスタンスの方が断然マシだ。
「傍観主人公」というスタンスがはやっているみたいだけど…でもミーハーな人を観察する趣味はないな。
おっと、こんな事言うと夢小説をこよなく愛する読者さん達やキャラに嫌がられそうだから、もう言わないでおこう。
なんか…話が脱線した。
そもそも…問題は、ソラの質問にどう答えたらいいかだ。
そこで、私は考えました。
「最近、引越してきたばかりで島を探検していたの。でも…あまりにも熱くて脱水しかけて倒れちゃったんだ」
《回答》上手く誤魔化す。
こうすれば…まあ、問題ないよね。
「そうか…。じゃあ、俺達と一緒に来ないか?」
「えっ…いや、なんか…」
チラリとリクに視線を向けた。
リクは、なんか顔がこわばらせている。
私の事を不審者だと察したのか…うん、90%あり得そうだね。
ごめんね、お姉さんが怖がらせちゃって。
ソラ、ごめんね。
折角だけど、此処はお断りした方がいいだろう。
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