【13】とある少女のトリップ体験
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暑い日差し…ミンミンと蝉が鳴く声が普段よりも大きい。
結華は、麦わら帽子をかぶり自転車をこいでいる。
額から滲み出る汗を手で拭いとり、目的地へと颯爽と急ぐ。
目的地は、勿論…本屋だ。
今日は、お気に入りの漫画の発売日。
それを買った後は、商店街の外食店で昼食予定だ。
「今日は、何食べようかな~」
暑いのは苦手だが、自分の楽しみのためなら、炎天下でも平気で過ごせる。
結華は鼻歌を歌いながら、今日の予定を考えていた。
その時だった…。
『……こっちだ』
「ん?」
キィと自転車を止めて、周囲を見渡す。
ほとんど人はいない。
先程の声は幻聴だったか…。
そう思い、自転車での移動を再開した。
予定通り、漫画本と小説を数冊を購入した。
自転車を駐輪場において、結華は馴染みのレストランまで足を運んだ。
「今日は、ハヤシライスの気分かな」
そう言いながら、その店の扉を開けようとした…その瞬間、視界がぼやけた。
「あれっ?」
おかしい…。
熱中症にならないように、ペットボトルのお茶は適度に飲んでいたはずだ…。
結華の思いとは裏腹に徐々に視界が真っ暗になっていった。
◇◇◇ ◇◇◇◇◇ ◇◇◇
デスティニーアイランドの海岸に、リクはいた。
親友の二人といかだをつくるために、材料集めをしているのだ。
集めた丸太をバラけない様に、しっかりと縄で固定していると、自分を呼ぶ声が聞こえてきた。
「おーい、リクー!」
親友のソラだ。
いつも元気で騒がしいが、今日はいつもとは違い、血相を変えてこちらに走ってきた。
「どうした? ソラ」
「人人人!」
「はっ?」
「向こうで…人が倒れてる!」
状況を把握したリクは、ソラと共に人が倒れているという場所まで駆け出した。
見てみると、親友の言う通り一人の少女が倒れていた。
綺麗な黒曜石を連想させる長い黒髪…それを後ろ手にひとまとめにしている。
年は自分とひとつ年下か同年代か…。
日に焼けていない色白の素肌にお洒落な柄のTシャツと動きやすい黒いズボンをはいている。
「リク…リク! おーい! 何ぼんやり見ているんだよ!」
思わず、魅入ってしまっている事をソラから指摘されてしまった。
ハッと我に返ると、すぐに倒れているその子の下へ駆け寄った。
「おい…大丈夫か?」
「う…ん…」
少女の目が薄らと開いた。
徐々に瞼を開いていき、髪と同じ黒色の瞳が明らかになった。
ゆっくりと身体を起こした彼女はうーんと背伸びをすると、キョロキョロと辺りを見回す。
「えっとー、おはようございます」
「……」
「あっ、おはよう!」
開口するや出てきた言葉は、朝の挨拶だった。ちなみに今は正午を少し過ぎた時間だ。
言葉を返せなかったリクに代わり、ソラが反射的に返事をしたのだった。
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