【11】世界で一番優しい歌声
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リオラが先頭になり、四人は森の中を前へ前へと移動していく。
歩を進めるにつれて、徐々に霧が晴れていく事にアクセルは気付いた。
「おっ…大分、視界がハッキリしてきたな」
「もうちょっとで、リオラのおうちだよ」
「ふぇ~、ようやく到着か…はやく休みたーい」
ゴール地点まであとわずか…。
それに安堵したのか、三人は顔が緩んでいく。
三人の気持ちに反応するように、周囲を漂う霧の濃さも薄くなっていく。
ロクサスは、大きく背伸びをしてふぅ…と息をはいた時、前方にチカチカと光が差し込んでいるのが見えた。
「あっ、あっちだよ!」
リオラが光のでる方向に指をさす。
自宅にもうすぐ着くという嬉しさと早く三人を連れていきたい強い思いからか、「はやくはやく~」と声をあげて走り出していってしまう。
「あっ、リオラ……」
「俺達も急ごう!」
走って先に行ったリオラの後を追うように、ロクサスが声をあげて走り出す。
それに続き、アクセルも徒歩から早歩きに切り替え、ペースを速めていく。
二人が速度をあげたのを目にして、デミックスは「まっ、まってくれよ~」と言いながら疲れた足に鞭を打つように慌てて転がるように走る。
茫々と生い茂る草木をかき分けていく…すると、キラリと眩い光がロクサス達の目を掠めた。
―――太陽……周囲を見渡すといつの間にか、霧は晴れており、目的地にもう着いているはずのリオラの姿はなかった。
その代わり…見覚えのある石造りが視界に入る。
その石造り―――リエの子どもの墓石の傍らには、一人の女性が地べたに座り、穏やかな眼差しでそのお墓を撫でるように触っていた。
「リエさん!」
「あらっ、ロクサス君に…アクセルさん、デミックスさんも…」
突如、姿を現した知人に、リエは驚きつつも、快く迎え入れた。
◇◇◇ ◇◇◇◇◇ ◇◇◇
「ありがとうございます。わざわざこの森の奥まで来てくれるなんて…」
リエは柔らかい笑みを零し、三人に手作りの弁当をもてなす。
霧の影響でどのくらいかは不明だが、長時間、歩き続けた三人にとって、リエからの差し入れは有り難かった。
特に、デミックスはサンドイッチを一気に二つも掴み取り、まるで水を得た魚のようにモグモグとかきこむように食べていく。
「……なあ、リエ…ちょっと聞きたい事があるんだが…」
アクセルが、容器に入れたお茶を一口飲むと、仲間二人が食事に集中しているタイミングを見計らい、口を動かした。
少し、躊躇いがちに尋ねる友達を見て、「なんですか?」とリエは言葉を返す。
「あの墓の子どもに名前はつけているのか?」
「あの子の名前ですか…」
そういえば…家族以外には教えていませんでしたね、と朗らかに言う。
不意に子どもの名前を尋ねられても、不快にならず、むしろ子どもに興味を抱いてくれてリエはほんのりと嬉しさを顔に表す。
そして…アクセルの質問にこう答えた。
「もし、この子が男の子だったら「カイト」……女の子だったら『リオラ』と名付けようかな…と思っていました」
その言葉を聞き、アクセルはそっと瞼を閉じて「そっか…」とどこか納得したように口元を緩めた。
二人の会話が、自然と耳に入ったロクサスは食べ物を喉に詰まらせ、咳き込んでしまう。
デミックスは―――やはり弁当に夢中で気付いていないようだ…とアクセルは苦笑いする。
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