【11】世界で一番優しい歌声
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
デミックスは、シタールを奏でながらその歌詞を口ずさむ。
その歌詞は、家族…恋人…友達…大切な人に捧げるバラード。
心に抱えた見えない傷は、一人だけでは癒す事が出来ない。
そんな時に、自分の気持ちを変えてくれた…支えてくれた人がいる。
『独りぼっちじゃない』
『幸せはすぐ傍にある』
そういう思いを込めたメロディーだ。
「これ……以前、リエさんが歌ってた曲だよな」
ロクサスが、思い出すように呟く。
アクセルは「ああ」と頷き、静かに後輩の演奏を見守る。
まだ、リエが機関に居た頃、自分達の知らない曲を休憩時に口ずさんだり、その曲目を知りたがる後輩たちに教えていた。
その中から、デミックスが今、歌っている曲を選んだのは、偶然かそれとも必然か…。
それでも…リオラの顔から涙が徐々に消えていった。
『リオラ…大好きよ』
『貴女のことをずっと忘れない』
『いつか…幸せになって』
毎年、母が囁いてくれる言葉。
母も同じ様に歌を唄ってくれる…。
リオラにとって、世界で一番優しく…幸せな時間。
リオラはいつの間にか、デミックスが奏でるメロディーを目を閉じて静かに聞き入っていた。
曲が歌い終わると、パチパチと小さく手を叩く音が響く。
「おにいちゃん、じょうずー!」
「リオラ、もう大丈夫なのか?」
ロクサスが、眉を下げて心配そうに訊くと、リオラは「うん」と大きく頷く。
それを聞き、ロクサスとアクセルは、ふぅ、と胸を撫でおろす。
デミックスは、シタールを一旦消すとリオラに近付き、軽く頭を撫でる。
「リオラはやさしいんだな~。リオラの話からお母さんたちがすっごく『大好き』って気持ち、伝わってきた」
「うん! そうだよ」
デミックスの言葉を聞き、リオラは自分の気持ちが他の人にも伝わった事に満足そうに返事する。
「俺は、リオラのおうちの事情はしらねーし、どーしてお母さんたちと離れて暮らさないといけないのか分かんない…。
でもさ、リオラはそんな家族の事を大切に思ってる…多分、家族も、リオラが嫌いじゃなくて、リオラのことが好きなんだと思う」
デミックスは、リオラの頬をプニプニと指で突きながら言葉を続ける。
「だから…リオラが泣いてると、お母さん達が『どうしたの?』って不思議に思うぞ。今度、お母さん達と会う時は、にっこり笑ってあげなきゃ!
リオラの悲しんでいる顔よりも、笑ってる顔の方が、お母さん達も喜ぶはずだよ~」
「…うん、そうだね! おにーちゃんのいうように、リオラ、おかあさんたちをわらっておでむかえしてあげる!」
デミックスは、返ってきた回答に満足そうに笑い、「いいこだ、それ~」とリオラを抱き上げて、たかいたかいをし始める。
リオラはきゃっきゃっ、と楽しそうにはしゃぎながら嬉しそうに笑う。
その様子をみていたロクサスは、はぁ…と目を丸くしてアクセルに話しかける。
「俺、デミックスのこと…見直した」
「まぁ…なんつーか、中身が『お子様』だから通じ合える部分があるのかもしれねーな」
いつもは、頼りない面ばかりが目立つ音楽家の意外な才能(?)を発見し、同僚二人は驚きを隠せない様子。
それから、リオラは元気を取り戻し、ロクサスの謝罪を「いいよ」と受け入れた。
調子も取り戻した所で、四人は再び、霧の中での移動を再開した。
