【10】「俺」と「彼女」と「少女」のすごす一時
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ユニは、自分の身の上話を語ってくれた。
自分が、とある歴史の深いマフィアのトップだった事。
母親と祖母から受け継いだおしゃぶりと『力』の事。
頼りがいのある部下達がいて、母に忠誠を誓っていた一人の男性にほのかな思いを寄せている事。
そして…現在、所属している新生マフィアのボスに、薬を飲まされて人形状態になってしまった事。
そのボスにあたる男は、普通の人間に見えて…
その内に秘めた野望により、多くの人々を犠牲にしてきた危険な人物。
肉体は人形にされたが、ユニは魂を移動する術を身に付けていた。
彼女は、その男の野望を阻止するべく密かに行動しているらしい。
「…平気か? その指導者はお前を狙うかもしれないぞ」
「あの人をとめるのは難しいです。
でも、諦めたらそこですべて終わってしまいます。
この身にかけても…あの人…【白蘭】を倒します」
強い意志を宿した瞳で少女は告げた。
だが…握りしめる手は震えている。
(俺はリエのように人を安堵させる素養はない。ゼムナスの様に他者の心を掴む術も知らないが…)
「ユニ…」
「…はい?」
「お前がその男を倒すために命を投げようが、逃げようがそれはお前の自由だ。
だが、これだけは言っておく」
―――『 " "』
その言葉を聞いて、ユニの表情からは不安が消え、笑顔が生まれた。
それから10分後、フィリアが茶菓子とティーセットをのせたお盆を両手に戻ってきた。
「お待たせしました。あらっ…?」
戻ってきてみると、サイクスは傍にある木々の一本に背中を預けて、スースーと寝息を立てていた。
ユニが、人差し指を唇にあてて「お静かに…」と小声で囁く。
「お話していたら眠たくなったようです」
「お疲れだったのね」
「フィリアさんの仰ったように、この御方は優しい人ですね」
「…サイクスさんとどんなお話をしたんですか?」
ユニが、サイクスに好印象を抱いている訳を聞いてみた。
フィリアがいない間に、ユニは身の上話を語っていた事を話し、その際にサイクスがある言葉を送ったのだ。
『悩んだ時は、一人で抱え込まないでここに来ればいい。
少なくとも…お前の居場所はここにあるのだから』
【「俺」と「彼女」と「少女」のすごす一時】
その事を聞いたフィリアは、寝ているサイクスに穏やかに微笑む。
出逢った当初と比べて…サイクスは性格に丸みを帯びてきた。
サイクスを変えたのは…他でもないフィリアの【本体】だ。
フィリアは、その事を自分の事の様に誇りに感じる。
「リエ…貴女のおかげですよ」
まるで呪文を唱える様に呟いたフィリアに、ユニはこう言った。
「サイクスさんを変えたのは、その方だけではありませんよ」
「えっ…?」
「殿方は…意中の異性の影響を受けやすいのですよ」
フフフ、と笑いながら、フィリアの耳元で意味深気な言葉を囁くユニ。
フィリアは、少女の言葉に疑問符を浮かべて小首を傾げる。
二人が話に花を咲かせる傍ら…
話の話題に上がっている張本人は、いつもより寝心地がよさそうに穏やかな寝顔をしていた。
温かな陽だまりの下、今日も【夢路の湖畔】での一時が始まる。
【おわり】
・
