【4】温泉騒動記
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入れ替わるように一時間後、ゼムナス達が温泉につかっていた。
デミックスがゆったりと湯につかりながら、ふんふんと鼻唄をうたう。
「ふんふんふーん♪ 温泉さいこーう!
おっ、今いい歌詞が思いついた、唄うぜ~」
「やめてください、こんな所でシタールを弾くのは…。
そんなに唄いたいならさっさと温泉からあがって部屋で演奏してください」
「ぶー、ゼクシオンのいじわる!」
ゼクシオンが呆れた面持ちで、デミックスを注意する。
その背後でルクソードとマールーシャが、夜空を見ながら、お湯に浮いているお盆にのせたワインを一口のむ。
「美しい…。星々が宝石のように輝いている」
「まさに、秘境の【桃源郷】といったところか」
そんな中、ゼムナスは部下達から少し離れたところで考え事をしていた。
(リエの着物姿…はじめてみた)
思い人が、普段着ないだろう和服姿を目にした瞬間、胸を鷲掴みされたように締め付けられた。
あの姿を思い出すたびに、そんな症状に陥ってしまう。
顔が徐々に紅潮してくるを隠す為に口元まで湯につかる指導者。
各々が温泉を満喫していると、デミックスはブツブツと文句を呟きながら、スィーと泳ぐように移動する。
「まったく…ゼクシオンの堅物…あれっ…?」
ふと、敷居のところでシグバールがニヤニヤと笑っているのが視界に映る。
端っこで何をしているのかと気になり、デミックスは近づいてこっそり小声で訊いてみた。
「おーい、シグバール…何やってんのさ」
「おう、デミックスか…。今いい所なんだ、邪魔すんなよ」
「ひっでーな。何やってんのか理由くらい聞いてもいいじゃん」
ぶぅーと頬を膨らませる後輩に、シグバールはニヤリと意味深気な笑みを浮かべる。
「よーし、それなら対価として今度の任務を代行しろってハナシだ」
「うぅ…なんとも世知辛い要求。うーん…分かったよ」
「うーし! 交渉成立だ。いいか…声たてんなよ」
シグバールは指先をちょいちょいと動かして、「ここだ」と指示をする。
先輩に言われるままに、デミックスは彼が指定した【穴】らしき個所を見た。
すると…その穴の先にみえた光景に、デミックスは大きく目を見開いた。
「あっ…あれは…ラクシーヌ!」
「シィー、声が大きいってハナシだ」
なんとシグバールは、自らの特殊能力を利用して覗き見用の穴をつくっていたのだ。
その穴からは、女性専用の風呂に入浴中のラクシーヌの姿を映し出していた。
「隊長、至極感激であります!」
「くくっ、デミックス二等兵。声はあまり出すなよ」
シグバールは喉で笑いながら、デミックスと共に気配を抑えて覗きを続行。
「それにしても…ラクシーヌ、スタイルいいよな」
「対照的に、性格は超が付くほどサイアクだけどね」
ぼそぼそと呟いていると、女湯に2人目の入浴者が現れる―――リエだった。
『あらっ、リエじゃない。もうバイトはおわったの?』
『はい。旅館側で臨時のアルバイトの人がピンチヒッターにいらっしゃったので、休憩する事になりました』
『おつかれさま~。あんたのおかげで、私らはこんなにリッチな待遇を受けられるもの♪
じゃんじゃん、やすみなさい~』
『フフフ、それではお言葉に甘えて』
リエとラクシーヌが楽しそうに話す光景をみながら、シグバールとデミックスはさらに目が釘つけになる。
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