ふたつのステラ 第3.5部 目覚める星と反旗の暗殺者(アサッシーノ)


物心ついた時、私には父がいなかった。

別にそれが淋しいと思う事はなかった。

何故なら、私の周りには片親や里親、施設で育てられている子どもが多かったから。


例を挙げると、私の幼馴染の一人は、幼い頃にオーブとなってしまい、実の両親の事を全然知らない。

でも、義理の両親がいい人だったおかげで、人前の常識と良心を持つ事ができたから、気にしていないと言っていた。



他にも、友達に双子の兄妹がいる。

彼等は、お母さんがとある大きな戦いで死んだ後に、水子として生まれてきたのだ。

お母さんはとても綺麗な人で、プログラミング関係の仕事をして、双子の兄妹を支える立派なシングルマザーである。

美しい風貌から、多くの男性が彼女にプロポーズをしているけれど、断っている。

理由は、まだ故郷の世界にいる旦那さんにあたる男性を愛しているから。


『俺は、親父の顔は写真でしか見た事ね―けどさ…母さん、親父の事話す時、すっげー幸せそうな顔するんだ』


友達のお兄さんの方が、以前そう語ってくれた。

彼は、父親の事を恨んだりした事はないらしい。

どこの馬の骨とも解らねえ奴なんかとくっつくよりも、遠い世界で生きている父親の方が断然ましだ、と言いのけた位だ。


当時、小学校低学年だった私は、夕食の時に母に恐る恐る聞いてみた。

“私のお父さんはいるの?”と。

母は驚きも、叱る事もせずに…あらあら、ようやくその質問をできる年頃になったのねとほんのり微笑んだ。

母が語るには、父親は生きているらしい。

遠いどこかの星にいて、多くの人々を連れて果てしない旅をしているとの事。


“なんだか、よくわかんない…どんな人なの?”


まだ年齢が一桁だった私には想像しづらかった。

母がクスクス笑って、そうね…確かに解りにくいよねーと言い、《ある物》を持ってきた。

―――【ペンダント】だった。

そこには、髪がショートヘアーの母と、父と思わしき人物…それから母に抱かれている赤ん坊がいた。


『この人が、*****ちゃんのお父さんよ』


初めて目にする父親は、私の髪と瞳の色が同じで…精悍で端正な顔つきの男性だった。

見た瞬間に、ああ…この人の娘なのだと、しみじみとした気持ちになった。

私は母親似だとよく言われている。

でも、父親から受け継いだところもあったのか、と改めて感じさせられた。


『おとうさん…かっこいいね』

『うん、そうでしょう。ちょっと不器用な所もあるけど、とってもいい人なのよ』


愛おしそうに微笑む母を目にして、私の胸はほんのり温かくなる。

ああ、お父さんは愛されている。

私も…愛してくれてるんだなって、そう思えて嬉しかった。



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