ふたつのステラ 第3.5部 目覚める星と反旗の暗殺者(アサッシーノ)
「ふぁ~……」
閉じていた瞼を開けると、窓から差し込む光が眩しく感じた。
深夜の3時頃まで、リゾットと話し合いをしていた所為か、まだ身体が気怠い。
(今、何時だろう…)
壁に設置されているアナログ式の時計を見ると、10時35分を指していた。
大分、熟睡していたようだ。
ベッドから起き上がり、そろ…と床へ足をつける。
立ち上がろうとすると、足元がふらっとして咄嗟に壁に手を付ける。
9年もの間、結晶石で眠りについていたからか、足の筋力が低下しているのだ。
(リハビリが必要…かな)
壁を利用して、ゆっくりと一歩ずつ進みながら部屋の外へ向かう。
きぃ…と扉を開いて、左右に首を振って気配を探る。
二階にはいくつか部屋が設置されているが、人の気配はなさそうだ。
両手で壁を利用して、足を引きずる形で移動していく。
階段付近に直面すると、フィンは顔を歪める。
(うわっ…)
手すりがついているとはいえ、今のフィンでは慎重に段を降りなければ踏み外す危険がある。
こうなると、段に腰を下ろして手を使って這いつくばって地道に降りていこうか、と考えていたその時―――
「何やってんだ?」
「うわわっ…!」
下から男性の声がして、手すりを握っていなければ、危うく落ちそうになった。
「おい…なんか足元ふらついてるぞ」
そっ…と下を覗くと、金髪の若い青年が心配そうに、黒髪の強面の男性が怪訝そうにこちらを眺めている。
「ふぃんちゃーん」
そして、見慣れた小さな友達もいっしょにいた。
笑って、小さい両手を振っている姿にほんのりと心が和む。
「ジェラード…あの女、確かリーダーの本命だったよな」
「違うぞ、ソルベ。噂の『眠り姫』だって…昨日の話聞いてただろ」
「ああ~…途中で、便所行ったから聞き逃した」
「まったく…しょうがないなぁ~、ソルベは」
面倒くさそうに後頭部を掻く黒髪の男性、ソルベと、苦笑しながら彼を肩を軽く叩くジェラード。
傍から見れば、漫才のコンビのようなやり取りだ。
「ふぃんちゃん、どしたん?」
気付くと、ソラが水色の光翼を広げて傍まできていた。
ぎょっとして、思わずソルベとジェラードの方へ視線を戻す。
「おーい、ミーチョ。飛ぶのはいいが程々にしとけよ」
「また、ペッシがバケツとか集め回っちまう羽目になるからな~」
どうやら、二人はソラが普通の人間でない事を周知済みのようだ。
―――『俺と《契約》を交わせ』
そうだ、リゾットが自分の事をエクレシアだと知っていたのだ。
ソラがエクレシアだとバレていても不思議はない。
「…で、眠り姫の嬢ちゃん? そんなとこで生まれたての小鹿のように震えてどうしたんだ?」
改めて、ソルベが問いかけてきた。
フィンは少し視線を逸らして、逡巡すると…
「あの…すみません。お願いがあります」
考えた結果、下に降りるために手伝ってもらう事にした。
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