ふたつのステラ 第3.5部 目覚める星と反旗の暗殺者(アサッシーノ)
10数年前、うりさんの招待で、エジプトにある彼の屋敷を訪れた事がある。
招かれたその屋敷で、私は「客人」として数週間、丁重にもてなされた。
カミングアウトすると、あの屋敷の空気はあまり合わなかった。
消したとはいえ、血の匂いと醜い嫉妬や悪意が蔓延る空間は、気持ちをげんなりさせた。
多少、打ち解ける事が出来た部下の人もいたけれど、中には心の底から吐き気を催す最低な人もいた。
ねちっこい視線でみてきたので、覇気で追い払ったら、今度は逆に怯えた鼠のように近づかなくなった。
うりさん、仮にも悪の帝王だったら、部下の教育は徹底してもらいたい。
それを言葉にしなかったのは、うりさんがそんな所に気を配る人…じゃなかった吸血鬼とは思えなかったから。
プッチさん経由で知り合って、彼の人となりをみてきた。
彼は、人を魅了する容姿を、人の心をつかみ取る術を、人を傅かせるカリスマ性をもっている。
けれども、彼の致命的な欠点は、人を愛する事を知らない…いえ、人を愛する事を忘れてしまった事だ。
女性の人を餌か自らの計画のための道具にしかみておらず、彼のために身を削って血を捧げたとしても、ぽいっと粗大ごみのように捨てられてしまう。
身ごもった女性がいても、慰謝料を支払ってあっさり縁を切ってしまう。
…悲しい人だ。
私が、彼に対して友達以上の親友未満の関係しか築けなかった理由はそこにある。
まあ、結果的にうりさんとはある意味「悪友」になれた事はよかったと思う。
せめて、彼に愛を芽生えさせる女性が出てくればと願っていたけれど…その前に彼は消滅してしまったので残念でならない。
話が変わると、あの屋敷でエンヤさんと呼ばれるお婆さんと出会った。
エンヤさんは、占いが得意らしくうりさんの命令もあって、私の事を占った。
彼女は一瞬、目を極限に見開くと、そのままうりさんの元へ駆け出して行った。
うりさんは、二つ隣の部屋にいた。
エクレシアの聴覚は敏感で、たとえ数キロメートル離れていても、話し声が普通に耳元に伝わってしまう。
『DIO様。あの女…いやフィン様は強大な運を左右する御方じゃ。我らに仇なす側につけば最凶の敵となりますが…』
『味方になれば、最高の女神になる…という事か』
『DIO様…フィン様はステラ様と同じく吉凶を司る神族。決してジョースター一族の手に渡してはなりませぬ。あの方々は我らの守護神になるべき存在!』
興奮して声高らかに助言するエンヤさん。
やれやれ…と溜息を漏らした。
これだと、うりさんがますます調子づいてしまう。
…エンヤさん。
貴女のその占いの所為で、私とうりさんは友達関係を壊す事になってしまった。
せめて、ちょうどいい話友達の関係は続けたかったのに…残念で仕方ないよ。
エクレシアとして、契約者を決めるのは【私自身】
親しい人が契約を望んだとしても、こればかりはそう簡単に成立させてはいけない決まり。
契約をしたいなら、私が課す『試練』を受けなければならないのだから。
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