ふたつのステラ 第3.5部 目覚める星と反旗の暗殺者(アサッシーノ)


「りぞしゃん、どこいくん?」


ソラは、暗殺チームの一人、プロシュートに抱きかかえられてどこかへ向かっていた。

隣で歩くリゾットに、場所を尋ねてみると…


「とっておきの所だ。ミーチョ」

「いーとこ?」

「そうだな…癒される場所だ」


リゾットが淡々とした口調で答える。


「おぃ、リゾット…まさか教会とかじゃねえだろうな。もしそうなら、いつから熱心なクリスチャンになったんだ?」

「残念、俺達はその資格を持っていない」

「なら、どこだ? ウンブリアかチレント地方にでも足を延ばすつもりか? 遠出にしちゃ、軽装で来ちまったぞ」

「そんなに遠くではない。ただ、特殊な通行方法ではあるがな」


リゾットの含みのある言い方に、プロシュートは何かあるな…と眉を寄せる。


“今日、暇な奴はいるか?”


朝方、メンバーの前で、彼はミーチョを連れて外出するから誰か付き添え…とそう告げた。

仕事と夜の楽しみ以外で、リゾットが誰かを外出へ誘うのは珍しい。

…といっても、折角の非番に外出をするのは面倒くさいという意見もあり、コイントスの結果、プロシュートがいく事になった。


特に予定もなく、弟分のペッシも昨日バールで飲みすぎた所為でダウンしているため、プロシュートは暇つぶしに同行するのを了承した。

可愛いこねこにんも、時には外でイタリアの陽気な空気に触れたいはずだ。


「ミーチョ、後で旨いもの食わせてやるからな」

「どるちぇ~♪」

「ドルチェ好きだな、ミーチョ。たまには、ジェラード以外に上手い“リゾット”でも如何かな?」


ちらりと、同じ名前のリーダーに視線を移す。

彼は、部下のそんなからかいも気分を害する様子はなく、足を進めている。


「調子に乗って食べさせすぎるなよ」

「…お堅い答えだ」


まともな言葉を返してきて、プロシュートは苦笑した。


◇◇◇ ◇◇◇◇◇ ◇◇◇


フィンの心はふわふわと浮遊していた。

陽の光がポカポカと結晶石へ降っており、小鳥達が飛び回っていて、長閑な雰囲気に浸れるから。

さらに5時間前に、親友二人と感動(?)の再会も果たした。

今日はいい事が連続している。


(こういう日は、願い事が叶うんだよね…)


願い事…と言っても、宝くじが当たるとかそんな大層な願いではない。

フィンにとっては、今日は夕食に好きなメニューがあったり、雨上がりに虹が見えたり…という素朴な願望である。


(少し唄っちゃおうかな~)



  ♪♪♪~ ♪♪♪~



いい事がある日は歌を唄う。

そうすると、必ず次のいい事が起きる。

これは、フィンにとってのジンクス。

好きな唄を奏でる事は、自然と幸運を運んでくるのだ。


(願うなら…ふーちゃんに会えますように…それからあの銀髪の人とお話しできますように)


思いを乗せて、フィンは伸びやかにその唄を口ずさむ。

すると…此処まで辿りつくための一本道から、複数の気配がした。

その内の一人が足を速めて、こちらへ近づいてきているようだ。

フィンは、あっ…と心がざわざわした。

何故なら、その気配が…彼女の待ち人であったから。


ガサッと葉を払いのける音。

姿を現したのは…あの男性だ。

フィンは「やった…」と動かないはずの口元が緩みそうになった。

やっぱり、今日は吉日だ。

ほんのりと幸せな心地に浸っていると、男性は一歩ずつこちらへ進んでくる。


「……歌っていたのは、お前か?」

『…えっ…?』

「聞こえたんだ…綺麗な歌声が」


男性が告げた事に、フィンはドキッと胸が高鳴る。

彼がゆっくりと大樹へ近寄ろうとしたその時、別の男性の声が響いた。



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