ふたつのステラ 第3.5部 目覚める星と反旗の暗殺者(アサッシーノ)
それから、同じようにストーカー被害にあっている人達を隠密で助けていたら、いつの間にか私の存在が噂されていた。
驚いた事に、この空間が現世と繋がっていて、普通の人でも行き来できるようになっていた。
多少ややこしい事になってしまったものの、長い間、独りぼっちだったから誰かにきてもらえる事は凄く嬉しかった。
色んな人が、私の所にやってきた。
一般人から有名人、中には裏社会の関係者まで。
基本は、眠っている私は、口では会話は出来ないけれど、中には私の言葉が伝わっている人も少ないながらもいた。
『にーちゃん! あのねーちゃん、しゃべったよね!?』
『…ああ、聞こえたぜ。あんたの声が…』
あまり父親とうまくいってない小さな兄弟は、私の発した言葉が聞こえていた。
弟君が中学生になって以降、あまりこなくなったけれど元気にしているかな…。
『とおるるるる、とおるるるるる~ ボス! 例の【眠り姫】発見しました! どちらにいるんですか!?』
『…私はここだ。ああ、ドッピオ…よくやった! 間違いない…彼女こそ例の…!』
気の弱そうな少年と同一の身体を共有する、邪悪な雰囲気のギャングのドンとも遭遇した。
どうやら、彼はエクレシアとの契約を望んでいたらしい。
でも、この結晶石の封印をご自慢のスタンドで解く事はできなかった。
たまに、一方的に雑談しにくるけれど、あまりこの人とは関わりたくないのが本音だ。
『眠り姫…君のおかげで、僕の創作意欲が掻き立てられる! ああ…くそっ! スケッチブックが足りない!』
リアリティを重視して、漫画に並々ならぬアイデンティティをもつ漫画家さんもいた。
自力でこの場所を発見して、今でも通ってくれている。
いずれも、国籍、年齢、職業を問わず個性豊かな人達だ。
『八年ぶりだね。君は無事でよかったよ…』
中には、顔見知りの人もいた。
うりさんの数少ない親友である、神父のプッチさんだ。
彼とはある経緯で知り合い、“ややこしい事件”を通じて交流を深めた過去があるのだけれど、長くなりそうなので詳細は別の機会に回します。
プッチさんは、行方不明になった私の安否を気遣ってくれていたようだ。
うりさんがどうなったのか、彼も知っていたらしく、訃報を深く悲しんでいた。
私が、承太郎君側の味方についた事を恨んでるかと思っていたが、そうでもなかった。
『君は、君の使命の為にDIOを敵対せざるおえなかった。それは悲しいと思うけれど、私は君を責めるつもりはないよ』
見透かす様な眼で、プッチさんはどこか予測していたかのようにそう告げた。
『でも…できれば、君とは戦いたくない。君はもう一人の《親友》でもあるのだから』
宣戦布告の如く、彼は予告した。
今後、とてつもない事件を起こすよ…そんなニュアンスの言葉を言い残して去っていった。
あと…密かに気になっている男性が一人。
『何故、眠りについている?』
色素の薄い銀髪で、黒と赤の瞳。
前側をクロス型のベルトでしめた黒のコート、黒白の縞々のズボンを身につけた、頭に黒の頭巾を被る、長身のどこか影のある男性だ。
微風が吹くと、彼の身体に微かに血の匂いが漂っていて、堅気の人間ではない事は解った。
『いつか…お前が目覚めた時、どんな声をしているのか、聴きたいな』
フッと浮かべる微笑。
トクッ…と胸が高鳴る音がした。
まるで、星のない夜に、湖面に映し出される美しい月を連想した。
彼もまた、時々この場所にきてくれる。
“ 待ち遠しい ”
そんな感情を抱いてしまう人と巡り合えたのは初めてだ。
私も封印が解かれたら、早くこの人と話をしてみたい。
“ 私も、貴方の事を知りたいです。
どうか…貴方の名前を教えてください。”
【眠り姫の回想とささやかな願い】
ある日、私のもとに懐かしい人達が来た。
空港で分かれて以来、久しぶりに会う二人は大人びた高校生から、すっかり【大人】になっていた。
「ようやく見つけたぞ/会いたかったよ
―――《フィン》」
『承太郎君…典明君、久しぶり』
私の挨拶は伝わったよう…二人は笑みを深めた。
そろそろ…目覚める時期が訪れそうだ。
【つづく】
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