ふたつのステラ 第1部 【ファントムブラッド】(1)


最近、息子に不思議な友達ができた。

執事からそれを聞かされた時、ジョースター卿は目を丸くした。

食事の場で、同年代の友達の事をよく話してくれる息子だが、気付かない内に年下の子どもとも仲良くなっていた。



「どんな子なんだ?」


「変わった衣服を纏った幼児です。猫を連想させる姿で…

ロンドンでは見た事のない斬新なデザインです」



執事はありのまま、主人に報告する。

どうやら、周辺に住んでいる様ではなさそうだ。

さらに、驚くべき事を執事は語る。



「あの子は、ジョナサン様と遊ばれると夕刻が近づけば、いつの間にか姿を消しているのです。

まるで、神隠しにあったかのように…」



しかも、数日たてば何の前触れもなく出現するとの事だ。

この間は、ベッドのシーツを取り替えようとしたベテランのメイドが、そこでスヤスヤ眠っているその子を目撃して仰天したらしい。

ほぅ…と顎を指で撫でて、興味深そうに耳を傾けるジョースター卿。


「私も会ってみたいな。その子どもに」

「は…はぁ、しかし何分子どもゆえに、きまぐれなのか、いつこちらを訪れるのかも…」


執事は、手持ちのハンカチで流れる汗を拭き、しどろもどろに答える。

そんな従者の様子に、ジョースター卿は軽く笑って「なら、気長に待つよ」と返した。


「父さん!」


会話を終えた直後、パタパタと足音が響く。

息子が階段から降りてきた…猫の衣装をきた子どもを抱きかかえて。





【ようこそ、小さいお客様】





「やあ、ジョジョ。その子が噂の友達かい?」

「うん! さっき、庭であったんだ」


息子曰く、一週間前は調理場の所にいたらしく、一昨日は町のところで遭遇した。

そして、本日はバラが咲く庭園の片隅で葉っぱを掴んで遊んでいたようだ。

執事の言葉通り、白い猫の衣装を身に纏う幼児だ。

被っているフードの隙間から、鳶色の髪がでており、同色の丸い可愛らしい瞳がこちらを不思議そうにみている。


「だりぇ~?」

「僕のお父さんだよ」


たどたどしい口調で質問する子ども。

ジョナサンがよしよしと頭をなでて教えてあげると、子どもは「とーしゃん?」と同じ言葉を反芻させる。

その愛らしい姿に、ジョースター卿も思わず口元を緩めてしまう。

既に降ろされて、ジョナサンの隣でちょこんと立っているその子のちいさな手を、彼は慎重に握る。


「ようこそ、小さなお嬢さん」

「あい!」


温和な雰囲気の紳士に、ソラは二パッと笑って返事した。

ちなみに、ジョナサンは父親のこの発言で、初めてソラが女の子である事を知ったようで、ええっ! と驚いていた…とメイドは証言している。





【To Be Continued… ⇒】

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