ふたつのステラ 第3.5部 目覚める星と反旗の暗殺者(アサッシーノ)
(…何やってんだ、あいつはぁ~)
イルーゾォはあちゃ~と額に手を押し当てて首を左右に振る。
異性同士の問題に第三者があれこれ介入すると碌な事にならないのが定番だ。
特に、そういう事に首を突っ込みたがる仲間(メローネ)が身近にいる所為で、泥沼化した結果を散々見せられてきた。
そんな経験を知らないペッシがとった行動をイルーゾォは咎めようとした、その時…
「…エスプレッソを頼む」
(えっ、リーダー…?)
「……じゃあ、ホットミルクを」
(って、フィンも…!?)
ペッシの言葉に反応して、二人は飲み物をリクエストした。
「へい、分かりました!」と敬礼して力強く返事をすると、ペッシは急ぎ足で一階へ降りていった。
「うそだろ…」
まさか、第三者(ペッシ)の言葉が二人の状況を変えるなんて…。
滅多にない好転のきざしに、イルーゾォは目を丸くした。
【バレた秘密】
「イルーゾォ」
名を呼ばれ、首だけその方向へ向けるとリゾットが視線でメッセージを促してきた。
「…りょーかい」
彼が言いたい事を察して、イルーゾォは小さな声でその一言を呟くと、ペッシがいる一階へ足を進めた。
リゾットは再び視線をフィンへ戻すと、彼女は気まずそうに目を迷わせる。
「…さっきは悪かった。急に問い詰めて不快に思っただろう」
「いえ…気にしていません」
フィンは「私こそ…すみません」とか細い声で謝る。
すると、リゾットはフィンを包み込むように抱擁した。
「…ッ!…りぞっ…」
「だがな…俺は、好いた女が人目を忍んで泣いている姿を見て平気でいられる程…冷めた心は持ち合わせていない」
耳元で言われた事に、胸が鼓動が早まり、目頭が熱くなっていく。
「俺はまだ…お前の事をほとんど知らない。少しずつでいい…教えてくれないか?―――そうしないとフェアじゃあないだろう」
顔を上げると、リゾットが幾分か和らいだ表情でこちらを見つめている。
そんな顔をされたら…もう我慢ができなくなってしまった。
「…じゃあ、お願いしてもいいですか?」
「…ああ」
「まだ泣き足りないんです。胸を…貸して」
再び俯いたフィンの頬を一筋の透明な涙が伝っていく。
リゾットは、何も言わずにギュッとフィンを強く抱きしめた。
胸元に埋まり、声を上げずに静かに泣く彼女の背中を優しく撫でた。
ペッシが飲み物を運んでくるまでの間…ずっと。
【つづく】
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