第24話【真夜中の招かれざる客】


※薄らと残虐要素が含まれているので、閲覧の際はご注意ください。



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話は、リーシェが【ムーンライト】でダンテと再会する前の時間軸まで遡る。

カン・バルク城の一室で、リーシェは…ベッドの上でパソコンを操作していた。


「何を見てるんですか?」

「あ、カナっち。夜遅いのに徹夜かい?」

「その言葉、そっくりそのままお返ししますよ」


体調は大丈夫なのか…と念のために訪れたカナンはジト目で、リーシェにそう言い返した。

シャルナークの事情聴取から二日経過した。

リーシェが参加した事で、彼の態度はやや軟化した……………リーシェ限定で。

ローエンや一般兵の尋問に対しては、相変わらずの状況が続いている。


「シズクさんは?」

「今のところ目立った行動はしていません。侍女とも普通に接していますね」


一方、シズクは念が使えない事もあってかこちらに危害を加える様子はない。

見張り役(と言う名の話し相手)として、普賢が彼女の傍にいる。


「これは私の勘だが、普賢さんがいる事でシズクさんは大人しくしている」

「えっ…なんで?」

「さぁ? 普賢さんのほわほわオーラに感化されてるとか?」


リーシェの推測に、カナンがまさか…と苦笑する。

だが、ふとある事を思い出す。

普賢が城に滞在するようになり、彼はカナンやリーシェと対策を話し合う傍ら、侍女や一般兵と談話している姿を度々見かけるようになった。


彼等と話す普賢の笑顔は、癒しの効果が抜群である。

もともと、仙人だった頃から癒し系なオーラを醸し出していたが、エクレシアになって以降はその力(?)が強化されたようだ。その影響もあり、城に仕える人達の間では普賢の評判は良い。

…リーシェの推測は、あながち間違っていないのかもしれない。



「あと、リーシェ師匠(せんせい)」

「ん?」


「私の契約者…ガイアス王が時間がある時でいいので話がしたいとの事です」

「ふーん…物好きな」


リーシェは、ガイアスと数回顔を合わせた事がある。

初めて顔を合わせたのは…彼がカナンに会うために【クロト=メグスラシル】に来た時だ。


「あの時、弁慶の泣き所を蹴った件で不敬罪にする気かなぁ~」

「もぅ、そんな事しませんよ! 彼は…師匠達の洗礼を謹んで受けただけ」

「そうこなくっちゃ…打たれ弱くない分だけマシだな」


カナンと契約を交わした男…ガイアスは数年前まで実質、敵対関係者だった。

リエを含めるエクレシア達にも牙を剥き、カナンを手に入れようとした。


一言で言うと…はた迷惑極まりない。

神族を敵に回してでも…という彼の意思と覚悟の強さは気に入ったが、何事もケジメはつけなければならない。

だから、姉のコゼットは強烈な平手打ち、リーシェは弁慶の泣き所にダメージを与えてやった。

むしろ、その程度に留めておいた事に感謝してほしい。


ガイアスは苦悶の表情は浮かべていたが、こちらの事を逆恨みしてはいないようだ。



【カナンとの仲を正式に認めてもらいたい】



そのために、リーシェを含めるエクレシア達と話をしたいとたびたび打診してくる。

ぶっちゃけ、面倒くさいのでパスしていたのだが…今回は宿代わりの部屋を提供してもらっているので仕方ない。


余談だが、お供として同行していた側近の一人…ウィンガルは一連の流れを間近で見ていた所為で、真っ白な燃え尽き症候群に陥っていた。

それほど、リーシェとコゼットの威圧が強烈なものだった事を物語っている。


しかし、当の本人達はガイアスに鉄槌を食らわせる事に集中していたため、彼が状態異常にかかっていたなんて露とも知らない。

その後、同じお供のニルスに支えられて、ウィンガルは完全復活するのに五日間ほどかかってしまった…なんとも切ない裏事情である。





「明後日辺りはいけそう」

「分かりました。そう伝えておきます」

「あっ、そうそう…カナっち」


出ていこうとするカナンを、リーシェは呼び止めた。


「城に【鼠】は出た形跡は?」

「今のところありません」


城内に侵入者がいる気配はない。

まだ来ていないか…それとも隠れ潜んでいる可能性もある。


「誰がくるかな…」

「できれば、あの小柄の男性は遠慮してもらいたいです」


カナンがチベットスナギツネを連想させる表情を浮かべてきっぱり言った。

どうやら、彼女はフェイタンが苦手になったようだ。


「確かにおちびのフェイじゃない方がいいね…面倒くさい」

「他にもそう言った団員がいるんですか?」

「フェイを入れて三人ほど」


断トツで面倒くさいのは、元凶のクロロだ。

もしもヤツが侵入した場合は…とリーシェは脳内でシュミレーションをする。


「リーシェ師匠、食べたい物ありますか?」


ブツブツと思考の海へとダイブしかけている師に、カナンはリクエストがあればお夜食を運ぶと伝えると…



「そうだなぁー…今、無性に【サンドイッチ】が食べたい。

特にカツサンドとフルーツサンド、大盛で」


「この時間帯にヘビーなメニューを指定してきましたね…しかも大盛ですか」



分かりましたよ、と小さく溜息をつくとカナンは部屋を退出した。

楽しみにしてるよ~とひらひらと手を振って、リーシェは弟子を見送った。




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