第2話【昔馴染みとの邂逅】


身体を洗った後、黒いタンクトップと灰色のショートパンツのラフな服装を着た。

キッチンで簡単な食事をつくると、透明なコップに冷えた麦茶を注ぐ。

グビッと一気に飲んで、乾ききった喉を潤す。


「ふぅ…(この一杯がたまらないんだな~)」


一息ついて、椅子に座ろうとして…リーシェは背中を向けたままポツリと呟く。


「無断で入るとは…いい神経してますね」


彼女の後ろに、一人の人物が立っていた。

外見年齢は20代。

黒い髪をおろしているが…額に逆十字架の刺青があり、ファー付きのジャケットを身に纏う男性。

リーシェは内心、チッと舌打ちをした。

入浴中に予想していた事が、早くも的中してしまった。


「久しぶりだな」


男性は悪びれもせず、愛想良く笑って言う。


「ああ、そうでしたね…クロロ」





【昔馴染みとの邂逅】





(事務所の前と後ろ、数人はいる…)


他の旅団のメンバーがいるようだ。

気配からして、ウボォーギンとノブナガ、シャルナーク。


「で…用件は?」


時計はちょうど、午前0時を指している。

日付が変わった時刻に、わざわざ知人を訪れるとは非常識この上ないが…蜘蛛にそんな常識は通用しないのだと解っているため、敢えて言わない。


「遅い時刻に着た事は謝るよ」


そう言いながら、クロロはソファーへ腰を下ろす。


「ふーん(…白々しい)」


リーシェは、別のカップに麦茶を注ぐと、それをテーブルの上においた。

クロロはカップの麦茶を一口飲むと、リーシェに視線を向ける。


「仮面付けてないんだな」

「…ああ、ちょっと」


壁にひっかけている仮面を指先でさす。

仮面にヒビが入っている事を暗に伝えると、クロロは納得したように頷く


「ま、お前の素顔を見れて、俺個人は目の保養になるからいいけどな」

「お世辞はともかく、用件は?」


歯が浮く様な口説き文句を一蹴して、リーシェは淡々とした口調で尋ねる。


“言いたい事があるなら、さっさと言え”


…と覇気を流して、遠回しに伝えてやった。

クロロはフッと口元に弧を描いて、持っていたカップをテーブルに置く。



「じゃあ、単刀直入に言おうか。リーシェ…【蜘蛛】に入らないか?」





【つづく】

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