第17話【兎の異変、姉の過去】


夢を見るのは珍しい事ではない。

しかし、今日のは一味違うようだ。


高い濃度の黒い霧が渦巻いていた。

この霧…汚染物質か有害物質の類だろう、夢路でなければ人体に悪影響大だ。

そんな有毒ガスまみれの空間に、一人の少年らしきモノがいた。

すべてが純白で構成された…摩訶不思議な存在。


“ はじめまして、リーシェ ”


少年は、自分の名を知っていた。

何故、私を名前を…と問えば、ここはいろんな情報が集まる場所だからだよ、と穏やかな口調で答えてくれた。

少年は口元を緩めてある質問をしてきた。


“ ねぇ、願いが叶うとしたら…君は何を願うんだい? ”


決まってる。

私は、迷わず母と姉の幸福を願う。


“ 即答だね ”


そうだよ。

あの二人は特別。

私を実の家族だと認めてくれたから…。


“ じゃあ、それ以外は? ”


それ以外って…?

私は、母と姉が幸せであればそれで十分…


“ その二人が…君個人の幸福を願ったとしたら? ”


母さんと…姉さんが…?

私個人の幸福を…?


“ 君は気付いていないんだね…それとも、気付かない振りをしているのかな? ”


癇に障る言い方するな、このまっしろしろすけめ。

私が気付かない振りをしているだと…?

あんたに、私に何が解るんだよ。


“ そうだね、僕には解らないよ。だって君の思いは、『君だけ』にしか解らないものじゃないか ”


…何も言えなかった。

しろすけさん(勝手に名付けた)に対して反論さえできなかった。

私は自分の胸にそっ、と手をあてる。


―――“私個人”の願い

―――“私自身”の望み


一体、何なのだろう?



“ 焦る事無いよ。じっくり考えて…君の心が何を望んでいるのかを… ”


しろすけさんはそう言うと、私の手をぎゅっと握りしめた。



“ 君とは近い内にあえると思うよ ”


どういう意味…?

問い返そうとした瞬間、誰かの呼び声が響いた。



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