第14話【Trend of everybody】



 プルルル…プルルルル…



広い客室に響く携帯音。

リーシェは携帯を耳に押し当てて“相手”が出てくるのを待つ。


『―――もしもし…』

「ハロー、その様子だとお目覚めかい? 大家さん」

『…リーシェか』


電話の相手は、大家…もといダンテだ。

事務所をでて早一週間経過していた。



「そっちはどう? 何か変わった事なさそうですか?」


『おかげさまで…ここんとこは悪魔すら休暇を楽しんでるようだ。

こっちも午後のティータイムは現在進行形で満喫中』


「…まーた、ピザとストロベリーサンデー三昧か。生活習慣病になるぞ」



呆れた口調でリーシェは窘める。

へいへい、気をつけるよと軽く返答するダンテ。


『…野暮用はどうなった?』


すると、ダンテはやる気がなさそうな声から一転、真面目な口調で問いかけてきた。


「ごめん。暫く帰れなくなったよ」

『…そうか』


何があったか教えてくれ、と言われて、リーシェは経緯を説明した。


『…やばい事になってんな』

「まあね…おかげで、年内の仕事全てキャンセルする羽目になった」


旅団に狙われている以上、患者や関係者まで巻き込まないよう、医療機関での通常勤務から外れなくてはならない。携帯で、各病院の院長に連絡して事情を説明して長期休暇をとる事にした。



『他の奴から連絡は?』


「ダンさんは、団員の一人と交戦したけど、撃退した。

姉さんはさっき電話で無事だと確認された、けど…」


『けど?』


「エクレシアだけでなく、候補の青年まで襲われた、と言っていた。

ほさ部にきている際に、団員の強襲にあったと…」



青年を襲った団員は、特徴からノブナガだと判明した。

居合切りの達人であり、リーシェは幼い頃は「ノブさん」と呼んでいた。

一方の青年は…イザヤ。

時々【クロト=メグスラシル】の病院にきて自分が診ている患者でもある。



『おい、結晶華はエクレシアにしかできないものじゃねぇのか?』


「基本はそうだけど…稀なケースでエクレシア以外の種族でも可能だよ。

でも…あの青年の場合は別の意味で狙われてるのだと思う」


『…そいつ、特殊な体質なのか?』

「個人情報に関わるから詳しくは言えないけど、そーいう感じ。ダンテ…貴方と同じだよ」



上等なベッドの上で寝転がりながら話を続けるリーシェ。



『…で、その候補の奴と青猫はどうなった?』


「無事だよ。途中で残念ピエロと赤毛さんの乱入はあったみたいだけどね。

その代わり…事務所はほとんど壊されたって、ドラちゃん嘆いてた」


『そりゃ、青猫の奴が気の毒だな…』



まさか、突如現れた盗賊侍に大暴れされて事務所が壊滅してしまうとは思わなかっただろう。

事務所の責任者であるドラえもんに、ダンテは同情を寄せた。


「…話変えようか」

『なんだ?』


急に話題を変えようとするリーシェに、ダンテは不思議そうに尋ねる。



「ダンテ―――もし、私が消えたらどうする?」



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