【5】女神族の長の目論見
※外伝連載【Brand new page】の番外編
※『七つの大罪』のある勢力の物語(4)
※ある人物(エリザベスの実母)視点で話が進みます。
※特定の種族(魔神族)に対して、差別的・不快な表現があります。
お読みの際はご注意ください。
※小説内では、女神族の生殖方法を『胎生』に設定しています。
※この話は好みが別れる内容となっています。
人によっては不快な気分にさせてしまう可能性があるので、お読みの際はご注意ください。
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『生まれ変わったら…今世と同じように自分の好きな生き方をしたい』
かつてのアナタはそう言った。
あの時の台詞は…今でも記憶に刻まれている。
異世界に迷い込み、力を制限され、姿形まで変わらざる負えなかった「私」を救ってくれたアナタ。
アナタは数奇な運命を背負っていた。
【最初のアナタ】は、どのような存在だったのかは分からない。
けれども、アナタにとって特別なものであった事は傍から見て察していた。
アナタの中では【最初のアナタ】の記憶が、異なる世界で生きた【別のアナタ】の記憶と共に存在していた。
―――幾度となく転生を重ねてきた『魂』
あの時のアナタは、世界を股にかける『治癒術士』として【14回目】の人生を歩んでいた。
その世界の流れに大きな影響を与えた人物として名を残し、多くの者達に慕われていた。
アナタは【14回目】の生を終える前に、ささやかな希望を口にした。
いずれ、星の大海に数多くある世界のひとつで生まれ変わる…その時に、自分の願いが叶うように。
アナタが【14回目】の人生に幕を下ろした後、私は元の世界に帰還した。
力を取り戻した私は、内政に取り組んだ。
敵対部族との些細な小競り合いが続く中、体制の見直しや同胞達の育成に力を入れていく。
争いを失くす事、全ての敵を消す事は不可能だ。
それでも、一時的にでも…停滞の時間を生み出す事はできる。
いずれ、この世界に生まれ落ちるだろう【新しいアナタ】が力を開花させるまでの間だけでも…束の間の平穏を過ごさせてあげたい。
アナタがいなくなった後、あの世界の導き神と取引をした。
アナタが【15回目】に…新しく生まれ変わる場所を、私の故郷である世界にしてもらう事。
世界の変革のために、アナタの手助けをした貢献と多少の知識を対価として。
『これだけは約束してください。
【あの人】がどんな種族になろうとも、かつてと違う人になろうとも…
決して【あの人】の生き方を否定し、心を壊すような所業はしないでほしい』
去り際に、あの世界の導き神がその言葉を送ってきた。
…【忠告】というべきだろうか。
私と彼の者は敵対関係になりうるほど、険悪だったわけではない。
ただ、彼の者とは一定の距離までしか歩み寄れない境界線があった。
世話になった事には感謝の念はあれど、世界の枠を超えてまで心を通わせる気にはなれなかった。
何年…何百年か経過した頃。
とうとう『その時』が訪れた。
複数の色の光の粒子を流しながら、見る者を魅了する美しい輝きを放つ【魂】
そう…紛れもないアナタだった。
【魂】はふわりと舞い散る粉雪の如く浮遊しながら、探索をしていた。
探しているのは…器となる【肉体】を生み出す者。
あの時点で、私が縁結びした同胞の夫婦はいくつもおり…新しいアナタを生み出すための母体は既に準備していた。
だから…後は、優しくアナタの【魂】を誘うだけだった。
私とした事が迂闊だった。
邪魔をする者の気配に気付かないなんて…。
【魂】を誘導するため…手を差し伸べようとした際に、天空から数条の太い雷が降り注いだ。
アナタは雷撃の威力で、どこかへ飛ばされてしまった。
あれほど、精神がかき乱された出来事はない。
妨害をした者は誰なのかは、判明している。
忌まわしき敵対部族の王であり、世界の異物共の長である…あの男だ。
沸々と湧き上がる負の感情を制御しながら、私はアナタの行方を探した。
アナタを見つけるのに時間がかかってしまった。
幸いな事に、【魂】は同胞の夫婦を次の肉親に選んでいた。
縁結びした一組で、良人の方は城で護衛兵を務めている者だ。
護衛兵の令室は、その時二人目の子を体内に宿しており、案の定「アナタ」だった。
かつての…【14番目】のアナタは血縁者に恵まれなかったと言っていた。
安心しなさい、【15番目】の肉親はまだ見ぬアナタの事を愛している。
今世では、温かい家庭で健やかに育まれる事になるだろう。
順調にいけば、アナタはいずれ私の元に来る事になる。
次代を担う長となる私の娘…エリザベスの側仕えに任命するつもりだ。
―――早くアナタに会いたい。
あの頃の記憶はなくとも、新しいアナタをこの手で抱きしめてあげたい。
もう遥か昔となった…【あの時】に交わした約束を今こそ果たすのだ。
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