【8】第一回 ヴァイス語検定試験
問題もとうとう最後となった。
ヴァイスは気合を入れるために、よしっと小さく呟くと問題文へ視線を向ける。
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【問題⑤】《次の長文を読んで、問題に答えてください》
東にある人間の国に、一人の少年がいました。
少年は料理が得意で、お父さんから引き継いだお店でお母さんといっしょにたくさんの人に美味しい料理を食べてもらっていました。
ある日、とても上等な服を身に着けたご老人とお付きの人がお店にやってきました。
お付きの人は、不満でいっぱいでした。
何故なら、少年のお店に来る前にとっても立派なお店で、豪勢な食事を味わったからです。
でも、仕えているご老人がその立派なお店の出す料理の味が合わず、口直しに少年のお店の料理を食べることになったのです。
文句を言うお付きの人に、少年は「美味しい料理を食べさせてやる!」と宣言しました。
この時点で、お付きの人はぜんぜん期待していませんでした。
何故なら、仕えている老人はその国の料理人の頂点に立つとっても偉い人物だからです。
そんな偉い人の舌を満足させる料理を、こんな小さなお店の子どもが作れるなんてまったく考えていなかったのです。
そんなこんなで時間が過ぎて、少年の料理ができあがりました。
少年が二人に出した料理は…『カツドン』
カツドンとは、衣料理の一種でブタ肉を揚げた物とタマネギという野菜を東の国の秘伝のソースで煮込み、たまごと合わせて、東の国にある【ライス】に乗せた料理のことです。
カツドンは、料理人の間では難しいとされている東の国では有名な料理でもあります。
果たして、少年はうまくカツドンを作ることができるのでしょうか…?
老人とお付きの人は、恐る恐るそのカツドンを一口食べました。
「これは…何といううまさだ!!」
老人はとてもおどろきました。
少年の料理は、想像以上に非常に美味だったからです。
メインとなるカツは厚みがあり、噛むたびにサクサクとした触感と肉のうまみのエキスがでてきて、最高級のステーキを味わっているようです。
甘い味のライスといっしょに食べると、美味しさがアップします。
さらに、トロトロの柔らかいたまごとシャキシャキのたまねぎの甘辛いソースも絡み合い、まさに至福の味へと変化させていくのです。
あんなに文句を言っていたお付きの人さえも、夢中でカツドンを食べていました。
少年は満足していました。
二人のお客さまが、自分の料理を美味しく食べてくれた事がうれしかったのです。
食べ終わった老人は、少年に感謝の言葉を言い、自分の立場を明かしました。
老人との出会いをきっかけに、少年はさまざまな料理人と出会い、時に料理対決をして交流を深めていく事になるのですが…
それはまた別のお話。
【問題(A)】《少年の職業はなんですか?》
【正】料理人
【問題(B)】《老人はどんな立場の人ですか? 魔神族の固有言語で答えなさい》
【正】(例)《料理人の頂点に立つ人》
【問題(C)】《老人の付き人は何故、少年のお店に不満を持っていたのでしょうか?
魔神族の固有言語で答えなさい》
【正】
(例)・《少年のお店に来る前に、上等なお店で豪勢な食事をしていたから》
・《少年が、自分や老人が満足する美味しい料理なんて作れないだろうと高を括っていたから》……など。
【問題(D)】《少年がお客二人に作った料理はなんですか? カタカナで答えてください。》
【正】カツドン
【問題(E)】《結果的に、少年と老人はどうなりましたか? 魔神族の固有言語で答えなさい》
【正】
(例)・《老人は美味しいカツドンに満足し、少年は自分の料理を認めてくれて嬉しかった。
老人は自らの身分を明かして、少年と仲良くなった》
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(この日本語の長文は、二人がどれだけ理解できたうえで答えられるか…がポイントだ)
文章中に漢字を普通に入れており、単語の意味も正しく分かっていないと分かりづらい内容にしている。
食べ物に関わる物語でもあるため、その辺の描写も取り入れたのだが…メリオダスとエスタロッサは理解できただろうか?
漢字の読み方がほぼ危ういエスタロッサはともかく、メリオダスが【カツ丼】という料理の事をちょっとでも分かってくれていたらいいな…とヴァイスは希望的観測を抱いた。
そもそも、この長文内容の制作を思いついたのは、調理中の出来事が起因している。
ブリタニアに用事があって行った際に、質の良い豚肉が手に入った。
折角なので、トンカツを作ろうと張り切っていた時に、ふと日本人だった頃に愛読していたあの有名な漫画の話を思い出したのだ。
(学生時代に、【特製超極厚カツ丼】の再現に挑戦した時期があったなぁー…今世でもやってみたい)
白米を含めた特定の材料を入手しないといけないため、現段階で作る事は不可能である。
でも、きっと再現してやる…という目標を掲げており、いつか東方面へ旅に出ようと密かに画策しているというのは内緒の話だ。
(さてさて、メルとエルは…どんな回答をしたのか)
ドキドキしながら、ヴァイスは二人の回答をチェックしてみた。
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