【8】第一回 ヴァイス語検定試験


「一試験した後のクッキーって格別だよなぁー」

「うん、同感だ」

「?? ヴァイスの作るものはいつでもうめえだろ」


試験が終わり、エスタロッサとメリオダスは二度目のお茶の時間を満喫している。

兄弟のしみじみした意見を、デリエリはいまいち理解できていないようだ。

三人がゆっくりと休んでいる間に、ヴァイスは答案の採点をしていた。


(うん、二人とも回答欄は全て埋めてるな)


初めての言語テストにしては上出来である。

だが、問題は正解か否かだ。


(さてと…チェックさせてもらいますか)



*** ***** ***



【問題①】《次の漢字の読み方を、ひらがなで記述しなさい》


(1)成長  【正】せいちょう

(2)紳士  【正】しんし

(3)黄金  【正】おうごん

(4)吸血鬼 【正】きゅうけつき

(5)猫   【正】ねこ

(6)精神  【正】せいしん

(7)岩   【正】いわ

(8)太陽  【正】たいよう

(9)運命  【正】うんめい

(10)時   【正】とき/じ



*** ***** ***



【メリオダスの回答】


(1)せいちょう (2)しんし

(3)ききん?  (4)きゅうけつき

(5)ぬこ?   (6)せいしん

(7)いわ    (8)たひ?

(9)うんめい  (10)とき



(メル…大分、漢字を読めるようになってきたけれど、まだ分かっていない単語もあるな)



【エスタロッサの回答】


(1)ななが   (2)いとつち

(3)おうかね  (4)すいちおに

(5)なえ    (6)あおかみ

(7)いし    (8)だいひ

(9)はこいのち (10)ひてら



(うん、なんとなくそんな予感はしてた…)



最初の問題で、二人のこれからの勉強方針が定まった気がした。

ヴァイスは、生温かい眼差しをエスタロッサへ向ける。


「ヴァイス、どうだった?」


視線に気付いたエスタロッサが、嬉しそうに尋ねてきた。


「うん、頑張ろうな…エル」

「えっ? なに、どういう意味だよ!?」

「…(どんな答え書いたんだ、こいつ)」


ヴァイスの様子から、弟が珍回答を書いたのだと薄々勘付いたメリオダスは、何も言わずに茶を飲む。

騒ぐエスタロッサをスルーして、○×を記載すると、ヴァイスは次の問題の回答へ移った。



*** ***** ***



【問題②】《次の文章で、()の部分と同じ意味を持つ単語を選択肢の中から選びなさい》


(1)にゃんこのハッピーは、ふしぎな(わんこ)のプルーに出会った。


《【選択肢】①犬 ②鳥 ③羊》


【正】①



(2)えみや君は、セイバーさんと強い(きずな)で結ばれている。


《【選択肢】①かたまり ②愛情 ③つながり》


【正】③



(3)「騎士道大原則ひとーつ!」は、とある騎士の(くちぐせ)である。


《【選択肢】①決まり文句 ②あだ名 ③ポーズ》


【正】①



(4)「ホーッホッホッホ」と笑うあやしげな商人がお客に(しょうひん)を差し上げた。


《【選択肢】①日記 ②品物 ③土地》


【正】②



(5)シライシさんはいざという時のために、たくさんの(どうぐ)をかくし持っている。


《【選択肢】①アイテム ②武器 ③コスチューム》


【正】①



*** ***** ***



(前世の記憶を参考に、ちょっと遊び心を加えてみたんだよなぁー…)


もし、自分と同じ前世の記憶がある人でなおかつこの質問の元ネタを知っている人がいたら、どんな反応をするだろう?

そんな事を思い返しながらも、ヴァイスは幼馴染二人の回答を見ていく。



【メリオダスの回答】


(1)① (2)② (3)①

(4)② (5)②



【エスタロッサの回答】


(1)① (2)② (3)①

(4)② (5)③



(あっ…2番と5番目、二人ともミスしている)


同じ個所を正解したり、間違うなんて…どこか二人は似ているところがある。


(2番目は…『セイバーさんに思いを寄せている』的な文章だったら、②が正解だったんだけどな)


生前、元ネタとなったゲームの登場人物二人のカップリングが大好きだった女友達が『グッジョッブ!』とぐっと親指を立てる姿が頭を過った。


(5番目の回答…メルらしいといえば、メルらしい。でも、武器を巧みに操るシライシさんか…)


何故だろう…うまく想像できなかった。

武器を扱おうとしたらミスしてしまい、味方の男性と女の子に頭と膝を叩かれるイメージの方が浮かび上がった。


(どちらかと言えば、エルの回答の方がまだありえそうだな…)


…さまざまなコスプレをするシライシ氏。

思わず、ぷっと吹き出しそうになった。

もし原作で衣装を使い分ける事で有名だったら、彼の異名もひとつ増えていただろう。

つけるとしたら、『お洒落王』だろうか…。


(やばい…ツボにはまる前に、冷静にならないと)


にやけそうになるのをこらえながら、ヴァイスは採点を進めていった。




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