徒然猫日記・小話
【天使のカミングアウト】
「あのさリエりんは、もし…独身だったら、誰と結婚していた?」
デミックスのさりげない「もしも…」の問いかけに、周囲にいた人々は一斉に、彼の方を振り返る。
リエは小首をかしげつつ、その質問の意図を尋ねると……
「いや、あのね、リエりんが独身だったら、俺もデートできるチャンスがあったかな~と思って……すんません、すんません…
頼むから、エアリアルブレードと大鎌を閉まってよー」
さりげないその言葉が癇に障ったのか、デミックスは上司とエリート後輩からの手厳しい洗礼を受けそうになる。
ラクシーヌは如何にもその状況を愉快そうに見つめ、シオンとナミネは興味深そうに、リエに視線を注ぐ。
「そうですね…そういう『もしも』の話を考えた事が無いので、難しい質問です」
「ヴァンス以外だったら、誰かいい相手はいたのか?」
アクセルが、呟いた事柄に対し、リエはうーんと首を捻りながら思案する。
「憧れの人はいます…クロウ・リードさん」
「ほぉ…他には誰かいるのか?」
リエは「そうですね」と呟きながら、メンバーの一人…教育係だったあの男性に慈しむような眼差しを送る。
「もし、私が独身だったらルクソードさんとおつきあいしてみたかったですね…」
ほわほわさんからの思いもよらぬカミングアウトに、その場にいた女性陣は「へぇ~」「うわぁ」と驚きと感嘆の声を出す。
その一方で、男性陣の態度は人それぞれだ。
ロクサスは大きく目を見開き、「そうだったんだ」と新たな発見をしたように驚く。
アクセル、ゼクシオン、サイクス、レクセウスはある程度予想が付いていたらしく、納得したように頷く。
ヴィクセンは「リエ君! 賭博師との付き合いはよく考えるべきだ!」となぜか大きな声で説教口調。
ザルディンは「くだらん…」と一連の流れをつまらなさそうにぼやく。
マールーシャはいつもの余裕の態度を崩さないように徹しているものの、内心は悔しさが充満している…。
それが若干上回りそうに、顔が笑みを固定したまま、引き攣らせている。
その正反対に、シグバールはニヤニヤと笑みを浮かべながら、その言われた本人に「いい男はつらいね~」と茶化している。
その当の本人であるルクソードは、口元を綻ばせながらまんざらでもなさそうだ。
「俺も、君が独身だったら熱いアプローチをしていたよ…」
「フフ、嬉しいですね」
「そういえば、つい最近、おいしいイタリアンレストランを見つけたんだが、今から一緒にどうだい?」
「あら、それじゃあ…お言葉に甘えましょ……」
「リエ、すまないが……今日は仕事が溜まっているので、また今度にしてもらえないだろうか?」
ルクソードの申し出を一刀両断するように、リエを手を掴み、自分のもとへ引き寄せる指導者。
眉間に皺を寄せ、目を鋭利に細めながら、部下に是を言わせない威圧感を出している。
そんな上司の態度を、ルクソードは苦笑を浮かべ、肩をすくめる。
「仕方ないね…それじゃあまた今度で」
「楽しみにしていますね」
リエはそのまま、ゼムナスに引き摺られるように、部屋を後にした。
それを目にしながらポカーンと呆気にとられる者もいれば、笑いをこらえる者もいた。
「アクセル……今日は休日だよな? ゼムナスはそんなに仕事が溜まっているのか?」
「あー……まぁ、そうなのかもな。……にしても、ボスはつくづく不器用なタイプだぜ」
「ゼムナスにも苦手な事があるの?」
「ああ…ボスにも苦手な事は一つや二つあるんだよ。特にそっち方面に関しては、な」
「「ふーん???」」
アクセルの言う事に、親友の少年少女はその意味がよく分からずに、首を傾げながら呟く。
【終わり】
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《あとがき》
ブログでの初の小話ネタです♪
リエは、本編では夫一筋ですが、仮に独身だったら、親しい人ともつきあっていたかもしれない、という事をカミングアウトするお話。
指導者さん、その回答に不満足気味です。ルクさんがデートを申し込む前に、リエを連れていっちゃいました(笑)
ちなみに、指導者さんはこの後リエを別のレストランに連れて行ったという。
傾向としては……少し甘めになってたらいいな。
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