ルシュの思い出メニュー
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※【贅沢にミートボールのトマトパスタ】の続編。
※ルシュの回想話で、御飯友達の大家さんと今回も美味しく食事を頂く物語。
※王国心Ⅲのネタバレが含まれています。
閲覧の際はご注意ください。
※今回から、新しいオリキャラ(アパートの住民)が登場します。
※作中で描かれているロストマスター関連の出来事などは、管理人の想像の産物です。
※アセどんさんは、相変わらずお肉大好き設定です。
※ルシュは、パンケーキはシンプルテイストを好む設定にしています。
*** ***** ***
その日も、俺はギルドのミッションを終えて帰宅した。
アパートの部屋(一階の102号室)の扉前まであと少し…という距離で、マリエを見かけた。
マリエは中腰になって、五歳ぐらいの小さい子どもと話をしていた。
「あっ、おかえりなさいませー」
「…ただいま」
俺の気配に気付いて、嬢ちゃんが挨拶をしてくる。
すると、向かいで話していた子どもも「こんにちは」とお辞儀してきた。
「その子は?」
「ルシュさん、ご存じないんですねー」
この子、アパートの住民ですよと告げられ、俺は微かに目を見開いた。
ギルドならまだしも、同じアパートの住民とは付き合いはあまりなかった。
精々、顔を合わせたら挨拶をする程度で、どこにどんな人物が住んでいるのかなんて詳しくなかった。
隣の103号室には一年前から学生らしき女子が住み始めて、真上の202号室には学者みたいな
中年の男がいる…程度の情報しか知らない。
「最近、アパートの二階に引っ越してきたバーナードさんの所のお子さんのユーゴ君ですよー」
なるほど…新参者か。
そう言えば、一ヵ月前に大きな荷物の持ち運びをしている業者が目立っていた。
マリエの話だと、子ども…ユーゴはギルドで裏方の仕事をしている父と受付担当の母と暮らしている。
両親が共働きな上に、職業の関係で帰宅する時間帯が遅い事から、マリエが世話をする事になったらしい。
「ユーゴ君、この人はルシュさん。冒険者さんだよー」
「えっと…はじめまして」
改めて紹介されたため、ユーゴに挨拶をした。
ユーゴはぺこっとお辞儀をしてきた。
「はじめまして、ユーゴです! 好きなものはいっぱいです」
「すごいねー、好きな物がたくさんあるなんてすばらしいよー」
ユーゴの自己紹介の仕方を、嬢ちゃんはのほほんとした顔で称賛する。
まあ、人見知りせずにきちんと挨拶したり、元気いっぱいに自分の事を説明しているところは好ましい。
「ユーゴ君のお父さんとお母さんは今日、お仕事で遅くなるので…うちでご飯を食べる事になりました。
ルシュさん…ユーゴ君も同席してもいいですか?」
「ああ、構わないよ」
「やったー! ルシュさん、ありがとうございまーすv」
ばんざーいと両手を上げて、嬢ちゃんは喜んでいる。
彼女の真似をして、ユーゴも両手を上げてはしゃいでいる。
「あっ、ルシュさん…今、何時ですか?」
マリエが思い出したように時間を尋ねてきた。
腕につけていたアナログ式の時計を見ると…二つの針は、午後二時五十分をさしていた。
時間を告げると、マリエはむむっ…と眉を顰めて腕を組んで思案しだした。
「まだ夕ご飯までに時間がありますねー」
「そうだな…」
「遅めの昼ご飯を取るにしても、中途半端ですなー」
「ん? とってないのか?」
「いえいえ、きっちりおかわり付きで食べましたよー。ルシュさんは?」
「町にある食堂で食ったよ。日替わり定食だ」
「日替わり定食…日によって、おかずが変わるシステムは魅力的ですねー」
【アジのフライ】とか定番なのが好きなんですよーとマリエは朗らかに笑いながら語る。
脱線しそうだったから、自己流に話をまとめると…
要するに、マリエは『食事を作るのは早いからどうしたい?』と訊きたいのだろう。
「こういう時の解決策はなんだと思います?」
「時間が来るまで待てばいいだろ」
「それもひとつの方法ですけど…
ちょこっとお腹が空いてしまうデメリットがあるじゃないですかー」
「はーい!」
「はい。ユーゴ君、どうぞ」
「おやつをたべる、です!」
「はい、そのとおーり」
正解だよーと嬢ちゃんは、ユーゴの頭を優しく撫でる。
ユーゴは、目を細めて気持ちよさそうに口元を緩めていた。
「…となると、間食か」
「午後のティータイムを楽しみましょう!」
こうして、午後のティータイムもとい【三時のおやつの時間】をいつもの嬢ちゃんと
新入りのお子様といっしょに過ごす事となった。
(…そういや、食事以外で菓子を食べるのは、今日が初めてだ)
普段は、昼食・夕食で世話になっているが、まさか菓子の時間までプラスされるとは思っていなかった。
「ではではー、記念すべきティータイムのお菓子は何がいいですかー?」
「…うーん」
「いっぱいあるー!」
「こらこら、いっぱい食べたら腹壊すからひとつにしろ」
「たくさん食べたい!」とリクエストするユーゴに自制を促していると、
真向かいの嬢ちゃんがうんうんと頷いた。
「ルシュさんの言う通りだよ、ユーゴ君。
いっぱいお菓子を食べちゃうと…夕ご飯が食べられなくなってしまうのだ!」
「えぇ~!?」
「よほどの食いしん坊さんでない限りは、お腹を壊してしまうんだよ~
…気を付けようねー」
(その例外が目の前にいるけどな…)
マリエの言葉に、内心ツッコみを入れたかった。
純粋に驚いているこの子どもも、糸目の嬢ちゃんの食欲旺盛ぶりを見たら度肝を抜くかもしれない。
「おぉ~、そうだ!」
「どうした?」
「満足感を味わいたいお菓子…パンケーキなんてどうでしょう?」
んふふ、とマリエが笑いながら提案してきたのは馴染みのあるメニューだった。
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