デミックス・リサーチ


《レポート2日目》


観察対象人物:水無月加奈




「2回目は加奈ちゃんにしよう!」

「水無月加奈さんですか…。あの人はエクレシアの中でも若手にあたる方でしたね」



エクレシアの中でも、加奈はソラの次に年齢的に若い。

オーブとなった場合、なくなった年齢で成長がとまってしまうため、

大抵は外見年齢と実年齢に差が生じてしまうのは珍しくない。


事実、リエやダン、普賢等がその事例に当てはまる

(普賢の場合は元から仙人だったので、外見年齢は若いままだが)。



「加奈ちゃんは、忍だけど少しドジっ子な面が可愛いんだよな~♪ 

頑張り屋さんでどこか守ってあげたい気分になるんだ。親近感が湧くし…」


「少なくとも、毎回任務をサボったり、自立心が皆無な誰かさんよりはマシですね」


「なんだよ…」

「おや、貴方の事を言った訳ではありませんよ」



ゼクシオンは少し棘を含む言葉で返す。

デミックスは眉を顰めて、彼を選んだ事を少し後悔した。

ゼクシオンはそんな視線を気にする事無く涼しい顔で、目的地まで足を進めていく。



二人は、加奈が現在、定期的に住んでいる神社へと辿り着いた。

この世界を震撼させた事件以降、加奈や他のエクレシア達は都から離れた山中に神社を設立して、

此処に通っている。到着して、二人は加奈をどこにいるのか探索する。

すると…神社の横に隣接する建物内から笛を吹く音色と唄が外へと聞こえてきた。



「この建物内にいるようですね」

「よし、こっそり覗いちゃおう!」



うきうきとピクニック気分で窓から中の様子を覗こうとするデミックス。

ゼクシオンは「あまり調子に乗らないでください」と呟きながらも、気配を消して内部を観察した。



◇◇◇ ◇◇◇◇◇ ◇◇◇



その部屋には三人の人物がいた。

畳に正座して縦笛を吹きながら、見事な音色を奏でる少女。

扇を片手にもち、しなやかな動きで舞い踊る黒と紫の色合いの煽情的な衣服を

身に付けた赤紫色のツインテールの少女。

そして…笛の音に合わせて、ツインテールの女性と共に舞う白い単(ひとえ)と

紫色の袴を身に付けた…加奈。


笛の音程と共に、加奈は部屋の中心まで静かに歩みを進める。

扇を広げ、煌びやかな舞を踊る。

凛々しい表情で、その一つ一つの舞の動きに命を吹き込む。

ツインテールの女性は、加奈の動きに合わせるように踊りながらサポートする。


その姿を隠れながら眺めるデミックスとゼクシオンは感嘆の息を漏らす。



「加奈ちゃん…きれ可愛い~。踊りもうまいし、俺ってば、シタール弾きたくなってきた」

「噂では聞いていましたが、これほどとは…【舞姫】と称されるのも頷けます」



加奈の舞の実力は、名人クラスのレベルだ。

天界や冥界等の各方面から、独立後の勧誘のオファーがきているという噂も

あながち誇張されたものではない、とゼクシオンは感じた。

その時だった…。



「麗華、ワンテンポ早すぎる」

「えっ、そうなの?」



笛を吹いていた少女が、縦笛を唇から離して注意した。



「加奈ちゃん~、ごめんね」

「いいですよ」


「じゃあ、もう一度、最初からいく」

「多由也さん、お願いします」



加奈がお願いすると、多由也は再び笛を吹き始める。

デミックスはその様子をみながら、メモに詳細を記していく。



「加奈ちゃんは…舞が上手い。

麗華ちゃんの踊りはセクシー系。

多由也って子は笛吹き係」


「デミックス、まさか、見たままの感想を安直にレポートに書くつもりじゃありませんよね…?

もう少し考察して…」


「おい、貴様ら…何をしている」



背後から聞こえてきた怒を含む声…。

デミックスはビクリと肩を震わせ、ゼクシオンはパッと反射的に後ろを振り返る。

そこにいたのは…豊臣軍の凶王―――「石田三成」だった。



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