デミックス・リサーチ
その幼児が小さな手をうーうーとあげる。
間違いない…。
あの子は、闇の回廊に潜んでいる自分達の存在に気付いたのだ。
「くーちゃん、ちょっとあっちで遊んでてね」
「あい!」
コゼットはその子ども…「くーちゃん」に別の部屋で遊ぶようにと優しい声で促す。
くーちゃんは素直に頷くと、ちょこちょことよちよち歩きで厨房から去っていく。
コゼットは鋭い視線を、闇の回廊がある付近に向ける。
「隠れてないで…出てきたらいかがですか?」
喉元に刃物が突き付けられた感覚に陥る。
ゾクゾクゾクッと背筋に緊張が走るデミックス。
「やべ…逃げるぞ!」
アクセルは、あわわっと硬直気味の後輩のコートの首元を引っ掴むと高速で逃げ出した。
猛スピードで城のロビーに駆け込んだ…。
ハアハアと酸素不足の二人に、ロビーで寛いでいたメンバーはギョッと目を疑う。
「おい…デミックス……俺はもうつきあわねーけど、これだけは言っといてやる」
「ゼーゼー、な、なんだよ~」
「今回の件で分かっただろーが…親しいコゼットでも、あれだけ警戒感剥き出しになるんだ。
…他の奴らも舐めてたら、痛い目にあるぞ」
気をつけろ、と言うと踵を返して、ふらつきながらロビーから退室していった。
未だに腰を抜かして座りこんでいるデミックスに、ロクサスが「何があったんだ?」と尋ねてきた。
デミックスはハハハ…と口元をひくつかせながら呟いた。
「ほんと……これから…俺…どうしよーう!!!」
彼の叫び声は、薄らと光り輝く月で照らされる城に響き渡った。
【つづく】
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【あとがき】
ミニドラレポートに続く新たなシリーズ《デミックス・リサーチ》シリーズを開始しました。
更新は不定期になりそうですが、少しずつ掲載していくつもりです。
今回、ソラと同い年の子どもを初登場させました。
前回の拍手で、リエが説明していた娘夫婦が迎え入れた養子の男の子です。
名前は【月華(げっか)】といい、通称「くーちゃん」
ソラとは色違いのねこにんスーツを愛用しています。
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