ルシュの思い出メニュー
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「「「「「「「インヴィ、(お)誕生日おめでとう!」」」」」」」
本番当日…誕生日を迎えたインヴィに、マスターを含めた全員で祝福の言葉を贈った。
インヴィの誕生日を祝うために、念入りに準備をしていった。
アヴァとグウラは広間内の飾りつけを担当。
アセッドやイラ、ルシュは簡易テーブルや椅子を設置していく。
それから、メインディッシュを含めたインヴィが好む味付けの料理を作って配膳していき…
あっという間に時間が過ぎていった。
お披露目の時間となり、アヴァに手を繋がれてきたインヴィはいつもと異なる広間の雰囲気に
「まぁ…」と案の定 驚いていた。
インヴィを椅子に座らせた後、各々で購入したり、手作りしたプレゼントを彼女に渡していった。
「ありがとう」とインヴィは嬉しそうに笑みを零す。
「はいはいはーい! それじゃあ、みんなで定番のバースデイソングを歌おうか!」
マスターがパンパンと両手を叩いて合図を送ると、全員が口を動かして唄を紡いでいく。
アヴァの可愛らしい声と、気恥ずかしそうに歌うグウラの声が上手く重なり合う。
国歌を斉唱するように、凛とした声で旋律を奏でるイラ。
見かけによらず、歌唱力の高いアセッド。
マスターは指揮者のように手を振りながら、皆の歌声をひとつにまとめていく。
歌い終わると、インヴィはパチパチと両手を叩いた。
「嬉しい。皆にこうしてお祝いしてもらえて…」
心なしか、インヴィの瞳は潤んでいるように見えた。
それから、全員で並べた御馳走に舌鼓を打った。
「美味しい。この料理…誰が作ったの?」
「アヴァだよ。それのレシピを聞くために、毎日食堂に通ったんだよな」
ルシュがそう告げると、アヴァが「うん…」と照れ臭そうに顔を俯ける。
インヴィが気に入っていた料理…【白身魚の茸あんかけ】
下処理した白身魚に、香辛料や小麦粉をまぶして両面を焼く。
茸を出汁で煮て、水溶き片栗粉を入れてとろみをつける。
そのとろみをつけたソースのようなものを白身魚にかけて完成するメニューだ。
「まぁ…あそこのお店の方に教えてもらったの?」
「何度も通って、交渉したおかげさ」
「えと…私だけじゃないよ。グウラやルシュも手伝ってくれたから!」
自分だけの功績じゃないとアヴァは慌てた様子で説明すると、インヴィはふふふっと口元を緩める。
「ありがとう、アヴァ…みんな」
インヴィの花笑む姿に…ハッとした。
毎日顔を合わせているはずなのに、仲間がまるで知らない佳人にように見えたのは目の錯覚なのか。
いや、今まで表に出ていなかった一面が露わになったと言うべきか。
(まぁ…満足しているみたいで何よりだ)
御礼を言われて、自分の事のように喜んでいるアヴァ。
そんな彼女と談話しているインヴィの様子を見ながら、ルシュは自然と心が満たされていった。
*** ****** ***
「…そういえば、そうだったな」
「ルシュさん? いかがなさいましたか?」
思い出を振り返りつつ、ルシュは独り言を呟く。
ぼぉーとしているルシュが気になったのか、リナが怪訝そうに声をかけた。
「なんでもない」と返しつつ、ルシュは眉を顰める。
(やれやれ…思い出すと、無性にあの料理を食べたくなってきたじゃねえか)
「マリーさん、これおいしーね!」
「海老はぷりぷりして甘いのを選びましたよ~」
海老の寿司を絶賛するユーゴに、マリエが解説している。
彼女なら作れそうだな…と思った。
すると、こちらの視線に気づいたのか、マリエが「おや?」と振り向いた。
「ルシュさん、何か?」
「え、あー…その…」
凝視していた事に気付かれ、少々動揺してしまう。
此処で言葉を濁してしまうと、返って不審がらせてしまう気がした。
「今日じゃなくていいから、他の魚料理を作ってもらえるか?」
「おやおや~、リクエストですね。いいですよ」
食べたい魚料理がある事を素直に告げたら、マリエは快く作る事を承諾してくれた。
「料理名は何ですか?」と聞き返され、ルシュはその名称を口にする。
「白身魚はまだまだありますから、明日作りましょうか~」
「ああ、ありがとう…」
マリエが作るのだから、味はかなり期待できる。
明日の夕餉が楽しみだ…と心を躍らせていると、優雅に〆の緑茶を味わっていたリナが口を開いた。
「あの、本日はたくさんのお寿司が出てきましたが…
此処から魚市場まで距離が結構ありますよね?
どうやって、食材を新鮮なまま持って帰られたのですか?」
リナの素朴な疑問に、ルシュは「あっ…」と声を漏らした。
そういえば、このアパートから魚市場まで徒歩で3時間くらいかかる。
移動用のチョコボや馬車を使っても、それなりに時間がかかる場所だ。
どのような手段を用いたら、新鮮な状態で魚介類を運ぶ事ができるのだろうか?
「ああ、それですねー。ちょっと特別な方法で運びました」
「それって…」
「それはまた、別の機会で~」
寿司を堪能できて、大満足している様子のマリエは時期がきたら解答すると告げた。
なんでこの場ですぐに答えないのだろう?
はて…と不思議に感じていたが、彼女が後に“その方法”を披露してくれた事で、
ルシュは「なるほどな…」と納得せざる負えなくなる。
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