【時和旅館】にて…


舞い降りてきた多数のドリームイーター。

その中でも、ふーちゃんのスタンドにそっくりのワンダニャンが真っ先に宿儺へ攻撃を仕掛けてきた。


「にゃふなぶっ!」


宿儺の手にがぶっと嚙みつくワンダニャン。

宿儺は鬱陶しそうに振り払おうとするが…

他のドリームイーターはそんな暇すら与えようとしなかった。


「きゅぃー!!」


長く大きく垂れ下がっている耳が特徴的な可愛らしいウサギ

…ミミバニーが大きな耳をブンブン振って宿儺の頭を叩いていく。

すぐさま、ミミバニーの耳を鷲掴みにして、噛みつくワンダニャンと共に頭上へ放り投げる。


宿儺の視線は、左右から接近してくるモノへ移る。

左方向から、葉っぱ型のシールドを持つカエルソルジャーが、もう片方に持つ鍔のついた野菜を振りかぶり、

右方向から、コック姿のカエルシェフがフライパンをフルスイングして攻撃を仕掛けてくる。

宿儺はその攻撃を両の手で受け止めると回転して、カエル達から武器を奪い取る。

野菜とフライパンを両手に、急降下してくるワンダニャンとミミバニーを強く殴打した。


ぷにゃー…きゅぃー…


攻撃を諸に受けるや、ワンダニャンとミミバニーは儚い声を漏らして煙を出して消えてしまう。



(一定の攻撃で消滅する仕組みか…)



冷静に分析しつつ、宿儺は迫りくるドリームイーターを相手に攻撃の手を緩めない。

別のワンダニャンが五体駆けてきて、宿儺の足元をわらわらと群がり、動きを封じようとする。



「邪魔だ、駄犬共」


「ぷにゃ!」「にゃぶっ!?」

「きゅーん」「ぎゃふっ!!?」

「ぶにゃ~…」



ワンダニャンズをサッカーボールの如く蹴り飛ばしていく最中、背後から熊のようなパンダ…クマパンダーが両手で宿儺を抑えこもうとバシバシと連打していく。

だが、違和感を感じたのか、クマパンダーが攻撃の手を止めるとえぐれた地面に宿儺の姿はなく…


「意外と賢いな」


はっとクマパンダーが見上げると、宿儺は上空に跳躍していた。

キンッという金属音が聞こえると同時に、クマパンダーの胴体が一直線に切れ、ぼんっと消滅してしまう。



(あの猫童…これだけの召喚獣と契約を交わしているとはやりおる)



宙を舞いながら、視線の先にいるこねこにんへ視線を向ける宿儺。

こねこにん…ふーちゃんは「みんにゃー(みんなー)」と消えていくドリームイーター達を切なそうに見ている。



(この位置なら…いや、待てよ)



ふーちゃんを狙おうとしたが、宿儺はそれを止め、地面へ着地する。



(ただ消すのは…勿体ないか)



宿儺は己の快・不快のみが生きる指針としている…端的に言うと自己中心的な性格だ。

他者には基本的に興味がなく、弱者は一方的に甚振って殺すか、食する対象であり、女性や子どもも例外ではない。だが、己の気に入った者や強者に対してはある程度の礼節を持って接するだけの度量はある。



改めて、幼いこねこにんを注視する。

宿儺の見立てでは、ふーちゃんの実力はあのウサギ仮面の神族の姉妹には到底及ばない。

だが、千年前に存在した術師達…その中でも上位レベルの者にも匹敵するだけのポテンシャルがあると察した。


宿儺を恐れる事なく、現時点で自らの全力を出し、彼を懲らしめようとしている。

明らかに格上の存在にも怯む事なく立ち向かおうとするその度胸は、現代のひ弱な呪術師よりも好ましく映る。


かつて、弱者相当だった伊織…リュンが己の求める者になったように。

あの幼女もまた、その対象になり得るのではないか。

己の躾次第では、強力な手駒にできるやもしれない。


「ケヒッ、決まりだな」


この時、ふーちゃんは宿儺の興味と捕獲の対象になってしまった。

なお、当の本人がその事を理解してしまったら、間違いなく「ぶぅー!」と頬を膨らませてぶんぶんと左右に首を振って断固拒否するのは確実である。



時間的に数分程度。

刹那の思考の中、宿儺はある事に気付いた。


(あの男はどこに…?)


ふーちゃんが秘奥義を発動させる前まで激闘を繰り広げていた相手…DIOの姿が見えない事を不審に感じた。

その直後、真上からとてつもなく大きな気配を察知する。



「にゃふにゃーん!」



ワンダニャンに似ているが、色合いが黒と赤で異なる。

頭に王冠を飾るその姿からワンダニャンの亜種…もとい、王的な存在であると推測できる。

その亜種が徐々に降下してきた。

そして…



「そこにいたか、金髪男」



宿儺の鮮血色の目がその王であるワンダニャンの亜種の上で、直立不動で立っているDIOの姿を捉えた。



「ゆけ、キングダニャン」

「にゃふー!!」



DIOがそう命じると、亜種…キングダニャンは宿儺へ目掛けて急降下していく。

宿儺は回避しようとするが…



「っ…! これは…」



宿儺の足全体を岩がガチガチに纏わりつき、身動きが取れない。



(あの男か…ッ)



離れた場所で、リュンを庇うように前方にいる観光客の男…レクセウス。

宿儺が真上に気を取られている一瞬の隙をつき、レクセウスが地面に手を押し当てて術を発動させたのだろう。



「にゃふにゃ、にゃぶにゃー!!」


『愚かな男よ、我が同胞を滅した事を骨の髄まで後悔させてくれるわ!』との事だ。

しかと味わうがいい…!」



※(注)DIOが勝手に台詞を考えて言っているだけで、翻訳している訳ではありません。





  ドシーン! ドシーン!! ドシーン!!!




キングダニャンは盛大に地面へ体当たりする。

連続して地面を跳ねまわっていき、衝撃波を出していく。

ビリビリと伝わってくる振動と風圧。

リュンは、飛ばされてしまいそうなふーちゃんを咄嗟に抱きしめる。

風圧を腕でガードしながら、レクセウスは戦闘の状況を凝視する。




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