【片翼の天使】シリーズ
※時間軸は【アプリヘンデ】の後
※読者様考案のオリジナルキャラとのコラボ
※コラボ小説『ふたつのステラ 【arcus caelestis(アルクス・カエレスティス)】』の設定あり。
よろず屋という職業についている所為か、はたまたリエを含めたエクレシアと関わる事が多くなった影響か…?
最近、コゼットの店でとある人物と知り合った。
「それでよぉ…俺はこう言ったんだ。『あんた、その男に騙されてるよ』ってな」
―――【サラ・ヴァイス・ラグナロス】
自称『なんでも屋』の複数の種族の血を受け継ぐ人物。
身なりは男性だが、性別はれっきとした女性。
「でもって、結婚詐欺を見抜いた見返りに通常の3割高の料金をもらったってわけ」
「…ちゃっかりしてるな」
この間、結婚詐欺グループの摘発をしてがっぽり大儲けした話を得意げに語るサラ。
イザヤは、ほぉー…と相槌を打ちながら、店の従業員がちょうど持ってきた果実酒を口にする。
現在の時刻は午後10時30分。
二人は、クロト=メグスラシルの南西地区にある酒場にいた。
この世界は中央区を中心に東西南北とエリアに分かれており、南にあたるこの区域は商業と観光の名所がある。
さらに、中央審議会の派遣する調査団が足を踏み入れていないダンジョンや領域が多数存在することから、一獲千金を狙う挑戦者が集うギルドもあり、
観光客から冒険者まで幅広い層の人々で年中賑わっている。
イザヤもその中の一人。
時間ができた時にアイテム収集や魔物討伐の依頼を受けたりする事もあるが、基本は著名なギルドに加入せずにフリーで通している。
今回は、ちょうど依頼を終えて一旦、中央区にある【ムーン・ライト】へ行こうかと考えていた時に、たまたまサラとばったりあった。
サラの方がやけに上機嫌だったので、今後の活動も視野に入れて、有力な情報でも掴んでおこうと思い、現在に至っている。
「すみませーん。大盛り肉団子パスタ二皿と仔ウサギのリゾット三皿と巨大マグロのソテー五皿、あとビールジョッキ三杯追加しまーす」
「おい…そんなに食べて腹壊さないのか?」
「へいきへいき…まだまだ腹五分目にすらなっちゃいないし~」
サラは、さっきからすごい勢いで運ばれてくる食事をひょいぱくひょいぱくとハイペースで口に運んでいく。
こっちは見ているだけでお腹が一杯になってしまいそうだ。
イザヤがそう思いながら、枝豆を一粒口に入れてると…
「…で、俺に何か訊きたい事とかあるんだろ?」
ふぅ…とビールジョッキ大を飲み干して口元を腕で拭いながら、サラが本題を切り出してきた。
「ああ、いくつかある」
イザヤは、コートのポケットからメモ用紙を取り出し、サラへ渡す。
「ふーん…こりゃまた難易度がハードなものばっかだな」
達筆な文字で記された複数の依頼内容をざっと目を通すと、サラはすぐに懐へ入れた。
「期間はどのくらいで?」
「最低でも二ヶ月内…長くなるようなら五ヵ月で構わない」
「りょーかい。いつも贔屓にしてもらってる御礼に、料金は二割減額するよ」
料金をサービスしてくれるのは有難い。
助かる…と言葉を返すと、イザヤは果実酒を一気に飲み干した。
二ヶ月後、サラから連絡がきた。
依頼していた情報を掴んだとの事で、急遽指定された場所へ足を運んだ。
「はいよ、頼まれてたヤツ」
場所は、クロト=メグスラシルの中央区。
カフェ・レストラン【ムーン・ライト】の二階…ほさ部の事務所に二人はいた。
ほさ部の事務所内は、防音設備と防音結界が二重で整っており、秘密の取引を行う場にはうってつけなのだ。
この事務所の主であるドラえもんは、二人に気を利かせて一時的に一階へ降りている。
イザヤはメモリーディスクをもらうと、持参してきたノートパソコンにそれを挿入して、すぐに情報に目を通す。
「…! これは…」
「いやぁ…情報を入手するのは骨が折れたわ。なにせ、二つの世界を梯子するんだから」
「…感謝する。料金は後日口座へ振り込む」
「いえいえ~…このくらいのこと」
カタカタとキーボードを操り、映し出される情報を一言一句逃す事無く見つめるイザヤ。
彼のその様子を向かいのソファーで背伸びしていたサラは静かに口を開いた。
「先の‟大変動”…そんなに気になるのか?」
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