【片翼の天使】シリーズ


“セフィロス”


お前は、何故あそこまで追い詰めたんだ…。

何故、実の弟に呪印を右目に刻んだのだ…。

何故、イザヤの気持ちを受け入れ、考えなかった?


イザヤは、お前に依存し…誰よりも慕っていたのに。

それとも…誰よりも“家族”に依存していたのはイザヤではなくお前だったのか…。


お互い、血を分けあったたった一人の“家族”だからこそ…

自分を拒絶したイザヤが赦せないのか…。


俺は…どうすればいい…。


ひたすら心の中で問いかける。

イザヤの心の支えであり、かつての仲間であった男に…。



「アンジール!」


ふと耳の鼓膜を友の声が刺激した。

その方へ振り向くや、両頬をパシッとサンドイッチするように両手で叩かれた。


「しっかりしなさい、誇り高きソルジャー1st アンジール・ヒューレー。何時まで下を向いているつもり?」

「カナン…」


「ずっと逢いたかったんでしょう? 彼に…」

「…ああ」


「言いたい事いっぱいあるでしょう?」

「ああ…」


徐々に、アンジールの瞳に強い光が宿り始める。

それをみたカナンは、パッと頬から手を離す。


「そう、それなら貴方が今やるべき事は…分かるわね」


アンジールの口元にフッと笑みができる。


「ああ、感謝する」


そう言うと、アンジールは白衣を翻して走り出した。

カナンは、親友の背中を見送りながら、小さく手を振った。

完全にアンジールが見えなくなると、カナンは首だけを後ろへ向ける。


「もう出てきたら? ザックス」

「あはは…気付いていたんだ」


近くの茂みからでてきたのは―――もう一人の友だった。


「どーして隠れてたの?」

「いや…なんてゆーか、入りずらくてさ~」


ハハハと頬をポリポリ掻きながら、ザックスは苦笑いする。


「あと、イザヤに嫌がられるんじゃないかって…思った」


苦笑いが、少し哀しげな笑いへ変化する。

カナンはふぅと軽く息を漏らすと、ポンポンと肩を叩く。


「泣きたいなら泣いた方がいい、下手に我慢するよりスッキリするから」

「うぅ…カナン…」


ザックスは嗚咽を出しながら、目からポタリポタリと涙を落としていく。

カナンは、男泣きをするザックスの隣で背中をヨシヨシと撫でたりして、暫くの間…傍に居続けた。





【つづく】

7/23ページ
スキ