【片翼の天使】シリーズ
少年三人と離れた後、病院の外にある円形のテーブルの木製の肘掛椅子にイザヤとカナンは向かい合う様に座る。
「さっきはありがとう」
「いや…言いたい事を言っただけだ」
イザヤはそう言うと腕を組んで、椅子の背もたれに背中を預ける。
「ところで…ききたい事がある」
「何?」
「さっき、リーシェからの唐突な提案に乗る形で、俺を連れだしたのは何故だ?」
静かに…探る様な眼で問いかける。
カナンは、ここにくる途中で自動販売機で購入した缶ジュースの封を開けて一口飲む。
「うーん…イザヤさんが、あの場から離れたがっているように見えたから、かな」
「……!」
「リーシェさん、悪い人じゃないけれど、あの独特の雰囲気が苦手な人が結構いるのよ。イザヤさんも顔にそう出ていたわ」
気付かなかった。
他人に指摘される位、自分は嫌な表情を浮かべていたのか…。
「でも、一番の理由はなんとなく“放っておけない”って思ったから」
「あんたが…俺の事をか…?」
イザヤが不思議そうに聞き返した事に、カナンはうんと頷く。
「貴方の背中が寂しくみえたの。まるで…“孤独”を背負っているみたいで」
「……っ!」
核心をつく発言に、イザヤは顔をこわばらせる。
その微かな反応を察したカナンは「あっごめんね」と付け足す様に言葉を続ける。
「…貴方を困らせるつもりはないの。ただ…」
「ただ…?」
「似ている人を知っているの…貴方と同じ“孤独”を背負った人を」
瞼を閉じて思い出す様に呟くカナン。
「一人で背負いこんで…無理をしちゃって、それで心が壊れてしまった」
「……」
寂しそうに語るカナンの姿を目の前にして、イザヤは何とも言えない気持ちになる。
この女性は…どんな人生を歩んできたのだろうか。
【エクレシア】になるだけの素質を見出されたという事しか現時点で分からない。
けれども、彼女の言葉の一つ一つから決して平坦な人生だったとは思えなかった。
「ふぅ、暗い話題になっちゃったわね。さーて話題を変えましょうか」
先程とは打って変わり明るい表情で提案するカナン。
イザヤは、目を丸くするものの…フッと苦笑を浮かべ「そうだな」とその提案に首を縦に振った。
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