徒然猫日記・小話
【カナンと「赤ん坊家庭教師」、時々「黒テルテル坊主」】
「ファミリーに入らねぇか?」
あの指輪争奪戦後、並盛町に住み始めたカナンの居場所を、とうとうアルコバレーノの晴れの守護者は見つけ出した。
その可愛らしい外見とは裏腹に、裏社会のヒットマンとして名を馳せる…彼の名前は【リボーン】
ボンゴレ10代目候補、沢田綱吉の師でもあり、9代目とも親交の深い人物だ。
「丁重にお断りさせていただくわ、リボーンちゃん」
カナンは、苦笑しながら片手を左右に振る。
彼との交流は生前からあった。
9代目を通じて知り合ったのだが、あくまで、顔見知り程度のものだった。
「私は、別の組織に所属しているから」
「掛け持ちでもいいぞ」
やんわりと断りの返事をするが、リボーンは粘り強く交渉する。
ハァ、と息を漏らしつつ、エプロンを身につけるカナン。
時計の針は、11時半を示している。
リボーンも「俺に気にせず、好きな事をしてくれ」と言ったので、ご期待に添えて、昼食をつくることした。
「私は、ずっと此処にいれるかどうかも分からないのよ」
「だったら、俺が上司と掛け合ってやろうか?」
予め用意しておいたエスプレッソを啜りながら、リボーンは交渉を続ける。
鶏肉を食べやすい大きさに切りながら、カナンは「無理だと思いまーす」と否の返事をする。
その反応に、リボーンはふむ…と口元を手で押さえ、考える仕草をする。
「その上司ってのは、強い奴なのか」
「ええ、私は足元にも及ばないと思う。それくらい凄い人なの」
カナンは会話をしながらブレンドした調味料を入れたボールに、鶏モモ肉を入れて、味がなじむように手で揉んでいく。
「もし、私をスカウトしたいなら、その上司を納得させるくらいの強さがなきゃダメなのよ。…だから、ごめんなさい」
少し申し訳なさそうに、眉を下げて微笑むカナン。
「そうか。気が変わったら、いつでも迎え入れてやる」
そんな事も、さらさら気にする事無く眼前の愛らしいヒットマンは、今回の交渉をお開きにした。
カナンは直感した…「この人は、明日も来るだろう」と。
【あの事件】がきっかけで、開花した超直感がそう告げる。
この第六感にほぼ等しいこの力は、100%の的中率であるため、外れる事はない。
全く、厄介この上ない【能力】だが、いまさら悔やんでも仕方がない。
カナンは、ふぅ~とため息をつきつつ、こんがりきつね色となった鶏肉を一つずつ、油からあげていく。
出来上がった唐揚げをお皿に盛り、テーブルへと移動させようと後ろを振り返ると、目をぱちくりと瞬きさせてしまう。
リボーン以外に、もう一人客人がいつの間にか、席に腰を落ち着けていたからだ。
「なんで、こいつがいるんだい?」
「それはこっちの台詞だぞ、バイパー」
「マーモンだよ。食事まで食べる気なんて…図々しいにも程があるよ。食事代金取った方がいいよ、カナン」
「とりあえず、まず言うべき事があるんじゃない? マーモンちゃん」
「こんにちは、それから久しぶり」
やれやれ、と呆れた表情で、カナンはその言葉を投げかけると、マーモンはすぐに挨拶を口にした。
またしても、超直感が告げる……「また【あの人】が来るのね」と。
ため息が連続する事態のオンパレードだが、いちいち深く考えるのも疲れるだけだ。
カナンは、気分を切り替えると、山盛りの唐揚げをテーブルにコトンと置いた。
「二人とも喧嘩はやめなさい。個別に話を聞くから、まずはご飯にしましょう!」
「「いただきまーす」」
小さな手を合わせて、赤ん坊二人は知人の御馳走にありつく事にした。
そんな二人の素直な反応に、カナンはクスッと笑いを零したのだった。
【おわり】
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【あとがき】
カナンと、アルコバレーノ二人のほのぼの話です。
この後、彼女の手料理の匂い(?)につられて、マーモンの上司が訪問するという裏設定があります。
唐揚げ、食べたくなりました~。
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