【9】Black×white×rain



「大丈夫だよ、絶対何とかなるよ。」



 -為す術はない- 



「絶対大丈夫だよ、イザヤさん。」



 -ただ 力が欲しい- 



(不思議な人だったな…)


イザヤは懐から煙草を取り出し、口に加え、火を点ける。


フー…


煙を外に出し、先程の女性を思い浮かべる。

先程の笑顔が頭から離れない。



 -手を伸ばしても 護れないなら- 



(“母”とはあのような存在なのだろうか…)



 -その先に握る 刃が欲しい- 



「っオーイ、イザヤ~!」

「…レノ…」


「うわっ!? お前、ずぶ濡れじゃねぇか!! 早く風呂入れ、風呂!! ってか、ずぶ濡れになってんのに、呑気に煙草吸うな!!」

「あ、ああ… スマン…」


「分かりゃいいのよ、分かりゃ。 しっかし…」

「何だ?」


「傘、無駄になっちまったなぁ。 折角持って来たのに、と…」


「…そんなことはない。 オレを心配して持って来てくれたのだろう? 無駄じゃないさ。」


「……(ア然)」

「…何だ?」


「イザヤ、お前………変な食い物でも喰ったか?」

「お前な…!」


「ま、いいや。 とっとと帰ろうぜ、風邪引く前によ。」

「ああ…」


「………お前、ホントどうしたの? やけに素直だけど…」

「別に、得に何もない。」


「なら、良いんだけどよ… 何もなけりゃそれでいいぞ、と。」

「…どうして、そう思った?」


「どうしてって… 何か、嬉しそうな顔してたから、良い事でもあったのかって思って…」

「良い事か…」


「…やっぱり何かあったのか、と。」

「何、話すことではない。」


「…ふーん…」

「…レノ…」


「ん?」

「ありがとう。」



 -運命を砕く 力は きっと- 



「……何を今更…」




 -振り下ろされる 刃に似ている- 





END

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