【9】Black×white×rain


その人は、闇を映す深遠の瞳をしていた。

雨が降る中、リエは傘を差し、荷物を持ちながら歩いていた。


「すっかり遅くなってしまいましたね…」


少々急ぎ足で歩いていると、その先に傘を差さず立ち尽くす黒の衣服を着たずぶ濡れの銀髪の青年が居た。


「大変…! 風邪を引いてしまう…!!」


リエは急いで駆け寄った。



 -廻転している- 



「………………」



 -世界は変わる- 



「あのっ!」


リエは青年に傘を差す。


「…!」



 -廻転し 太陽と月に触れるたび- 



「余計な真似をしてスミマセン。 寒くはないかと思いまして… このままでは風邪を引いてしまいますよ。」

「…………どうも…」



 -常にその姿を 新たなものへと変えてゆく- 



「…何故、傘を差さずにこのような場所に立ち尽くしていたのですか?」

「……」


青年は俯き、虚ろな瞳で、静かに口を動かした。



 -変わらないものが あるとすれば- 



「…無力だった自分を思い出し、その無力さを噛み締めていた……」



 -それは きっと オレの無力- 



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